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# 高年齢者雇用安定法とは?意味・使い方・実務での活かし方を解説 **最終更新日**: 2026-05-15 / **カテゴリ**: 労務・法令 /**英語表記**: Act on Stabilization of Employment of Elderly Persons --- ## はじめに 少子高齢化と労働力人口の減少が進むなか、高年齢者の活躍を支える法的枠組みとして整備されてきたのが高年齢者雇用安定法です。65歳までの雇用確保義務に加え、2021年4月施行の改正法では70歳までの就業機会確保が努力義務化され、人事制度設計に大きな影響を与えています。本記事では、高年齢者雇用安定法の意味、活用シーン、運用上の留意点を、人事担当者の視点で整理します。 ## 高年齢者雇用安定法とは? 高年齢者雇用安定法(正式名称:高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)とは、高年齢者の安定した雇用の確保と就業機会の拡大を目的とした法律です。1971年に「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」として制定され、改正を重ねながら現在の名称・内容に整備されてきました。本法の中核は、(1)定年年齢を60歳以上とすることを義務化する規定、(2)65歳までの雇用確保措置の義務化(定年引き上げ、継続雇用制度の導入、定年の定めの廃止のいずれかを選択)、(3)2021年4月施行の改正により追加された70歳までの就業機会確保の努力義務(雇用以外に業務委託契約や社会貢献活動への従事も選択肢として位置づけられる)です。少子高齢化を背景に、高年齢者の能力を活かす企業内制度の整備を促進するための法的枠組みとして機能しています。 ## 高年齢者雇用安定法がよく使われるシーン 高年齢者雇用安定法は、主に以下のような様々なビジネスシーンで活用されます。 * **定年制度の設計**: 定年年齢の設定、定年後再雇用制度、定年延長などの制度設計の根拠となります。 * **継続雇用制度の運用**: 60歳以降の処遇、契約形態、職務内容の設計に活用されます。 * **70歳までの就業機会確保**: 改正法に対応する形で、業務委託や社会貢献活動への移行スキームを設計する根拠となります。 * **シニア人材活用施策**: 経験豊富な人材の知見継承、メンター活用、専門職としての配置などの制度設計に反映されます。 * **再雇用後の処遇設計**: 役職定年後の処遇、給与水準、職務再設計の検討において参照されます。 ## 高年齢者雇用安定法を理解することの重要性 高年齢者雇用安定法を正しく理解することは、年齢にかかわらず活躍できる組織づくりに不可欠です。 * **法令遵守の徹底**: 65歳までの雇用確保措置は義務であり、対応不備は行政指導の対象となります。 * **70歳までの就業機会確保への対応**: 努力義務とはいえ、社会的な期待は高まっており、先行的な制度整備が求められます。 * **シニア人材の活用**: 高年齢者の知見・経験を組織資産として活用する制度設計の根拠となります。 * **処遇制度全体の整合性**: 定年延長・継続雇用と若手・中堅の処遇制度との整合性を踏まえた制度設計が必要です。 ## 実務で活かすためのチェックポイント 高年齢者雇用安定法を自社の現場で活用する際には、次のような観点で確認すると、運用の精度が高まります。 1. 65歳までの雇用確保措置として、定年引き上げ・継続雇用制度・定年廃止のいずれを採用するかを自社の人材戦略に照らして判断する 2. 継続雇用制度を採用する場合、対象者の選定基準、契約形態(嘱託、有期雇用等)、処遇水準、業務内容を明確に規程化する 3. 70歳までの就業機会確保について、雇用継続のみならず、業務委託、社会貢献活動、社内独立支援などの選択肢を設計する 4. 定年前後の処遇差・職務差を点検し、パートタイム・有期雇用労働法との整合性を確保する 5. シニア人材のキャリア面談、知見継承プログラム、健康管理など、長期就業を支える人事制度を一体で設計する ## よくある質問(FAQ) ### Q. 70歳までの就業機会確保は、必ず実施しなければなりませんか? A. 2026年5月現在、70歳までの就業機会確保は「努力義務」であり、罰則を伴う義務ではありません。しかし、本法の改正趣旨を踏まえると、社会的な期待は今後さらに高まると見込まれ、将来的な義務化の可能性も指摘されています。すでに大手企業を中心に70歳までの再雇用・業務委託・社会貢献活動を組み合わせた制度設計を進める企業が増えており、人材確保が困難な業種では先行的な対応が競争優位につながります。一方で、70歳までの就業機会確保には、健康管理、職務再設計、処遇設計、若手とのキャリアパス整合など複数の論点があり、自社の人材構成と経営戦略を踏まえた段階的な対応が現実的です。 ### Q. 継続雇用制度では、定年後に給与を下げてもよいのですか? A. 一定の合理性があれば、給与の引き下げ自体は許容されます。継続雇用制度のもとでは、定年後に職務内容、責任の範囲、勤務日数、人材活用の仕組みが変わるケースが多く、それに応じた処遇調整は法的にも許容されてきました。ただし、職務内容・責任が定年前とほとんど変わらないにもかかわらず、年齢のみを理由に大幅な給与減額を行う運用は、不合理とされるリスクがあります。長澤運輸事件・名古屋自動車学校事件など、定年後の処遇に関する裁判例では、職務内容・人材活用の仕組み・その他の事情を総合的に評価する姿勢が示されています。継続雇用後の処遇は、職務内容の再設計とセットで合理性を確保することが求められます。 ## まとめ 高年齢者雇用安定法は、高年齢者の安定した雇用確保と就業機会拡大を目的とした法律であり、65歳までの雇用確保措置の義務化、70歳までの就業機会確保の努力義務化を中核としています。少子高齢化を背景に、シニア人材の活躍を支える制度設計はますます重要性を増しており、定年制度・継続雇用制度・処遇制度の見直しが企業経営に直結します。法令遵守のみならず、人材戦略全体のなかで位置づけることが重要です。 --- ## 自社の人材育成・組織課題に関するご相談はこちら 人事用語を理解したうえで、「自社では実際にどう活用すればよいか」「制度や育成のしくみをどう設計すればよいか」というお悩みは、業種・規模を問わず多くの企業に共通します。 WONDERFUL GROWTHでは、人事領域の制度設計・人材育成・組織開発のご相談を、企業ごとの状況に合わせて承っております。高年齢者雇用安定法への対応や定年・継続雇用制度の見直しについて、自社にどう取り入れるべきか整理したい方は、お気軽にお問い合わせください。 **[ご相談・お問い合わせはこちら](https://wonderful-growth.com/contact)** > 課題整理の壁打ちから、定年制度の再設計支援、シニア人材活用施策の伴走まで、人事の現場に寄り添うご支援が可能です。まずは現状をお聞かせください。 --- ## 関連情報 - **カテゴリ**: 労務・法令 - **用語スラッグ**: elderly_employment_stabilization_act - **想定URLパス**: /elderly-employment-stabilization-act *本記事は、人事担当者・経営者・現場マネージャーの皆さまが、ご自身の課題解決のヒントとして活用いただくことを目的に作成しています。実際の制度設計や法令対応にあたっては、専門家への確認をおすすめします。*
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
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