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情動伝染とは?リーダーの感情が組織に広がる仕組みを解説
はじめに
上司の機嫌が悪い日は、なんとなくチーム全体の空気も重くなる、そう感じた経験はないでしょうか。心理的安全性の高い職場づくりに取り組んでいても、リーダー自身の感情の状態が、意図しないかたちでメンバーに伝わってしまうことがあります。本記事では、こうした感情の広がりを説明する情動伝染という概念と、組織運営における注意点を解説します。
情動伝染とは?
情動伝染とは、ある人の表情や声のトーン、姿勢、身振りなどを周囲の人が無意識のうちに模倣し、その結果として感情までも近づいていく現象のことです。心理学者のエレーヌ・ハットフィールドらが1990年代に体系化した概念で、人が他者の感情表出を観察すると、自分自身の表情筋や身体反応が自動的にそれに同調し、やがて主観的な気分そのものが影響を受けるとされています。
組織の中では、特に管理職やチームリーダーの感情が、通常のメンバーよりも大きな影響力を持つとされています。これは、立場が上の人物の表情や態度に周囲が意識を向けやすいことに加え、リーダーの感情が会議の進行や意思決定の場を通じて、チーム全体に繰り返し接触する機会が多いことも背景にあるとされています。前向きな感情を表すリーダーのもとではチーム全体のモチベーションが高まりやすい一方、不安や苛立ちを強く示すリーダーのもとでは、チームの雰囲気が沈みやすいと指摘されています。
よく使われるシーン
管理職向けの研修で、リーダー自身の感情の状態がチームに与える影響を説明する場面で使われます。職場のメンタルヘルス対策や心理的安全性向上の取り組みの中で、感情の伝わりやすさについて触れる場面でも用いられます。チームの雰囲気が悪化している原因を分析する際や、1on1ミーティングでリーダーが自身の感情表出を振り返る場面でも登場する言葉です。
情動伝染を理解することの重要性
情動伝染を理解しておくと、チームの雰囲気の変化を、メンバー個々の問題としてだけでなく、リーダーの言動が及ぼす影響として捉え直せるようになります。人事担当者にとっては、管理職研修やリーダーシップ開発の設計に、感情のマネジメントという視点を組み込む根拠にもなります。ネガティブな感情はポジティブな感情よりも伝わりやすいという指摘もあり、不安や苛立ちを抱えたまま部下と接することのリスクを、具体的な言葉で伝えられる点も実務上の意義といえます。組織開発の観点からは、エンゲージメント調査の結果が芳しくないチームについて、制度や業務内容だけでなく、リーダーの日々の感情表現にも目を向けるきっかけとして活用できます。