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はじめに
部下の仕事と家庭の両立を支えながら、組織の成果も上げる上司。そうした上司像を表す言葉として広まったのが、イクボスです。働き方や価値観が多様になるなかで、管理職に求められる役割の変化を象徴する考え方といえます。多様な人材が活躍できる職場づくりの鍵としても注目されています。本記事では、イクボスの意味や背景、関わる場面、実務で役立つ視点を整理してご紹介します。
イクボスとは?
イクボスとは、部下や同僚の仕事と育児や介護などの両立を理解し、応援しながら、組織としての成果も出し、自らも仕事と私生活を充実させる上司を指す言葉です。育児を支える上司というイメージから広まりましたが、対象は育児に限られません。介護や治療、学び直しなど、部下が抱えるさまざまな事情に配慮し、働き続けられる環境を整える管理職を広く指します。部下が安心して力を発揮できる職場を、上司の立場からつくる存在ともいえます。
この言葉が生まれた背景には、共働き世帯の増加や、働き方の見直しという社会の変化があります。長く働くことを前提とした働き方では、家庭の事情を抱える人が力を発揮しにくく、人材が定着しません。部下の事情を理解し、限られた時間で成果を上げる働き方へと導く上司の存在が、組織の持続的な成長に欠かせないと考えられるようになりました。行政も、こうした上司を増やす取り組みを後押ししています。
イクボスがよく使われるシーン
イクボスは、働き方改革やダイバーシティの推進を語る場面でよく用いられます。育児や介護と仕事を両立できる職場づくりを進める際に、その鍵を握るのが現場の管理職である、という文脈で取り上げられます。経営層が、イクボスを増やす方針を掲げ、宣言として示す取り組みも見られます。自治体や企業が連携し、地域ぐるみでイクボスを広げる動きもあります。
管理職の育成の場面でも重視されます。部下の多様な事情に配慮しながら、チームの成果を上げるには、これまでとは異なるマネジメントの考え方が求められます。仕事の進め方を見直し、限られた時間で成果を出す工夫を促し、休みを取りやすい雰囲気をつくるといった行動が、イクボスには期待されます。研修などを通じて、こうした管理職の意識と行動を育てる取り組みが広がっています。
イクボスを理解することの重要性
イクボスを理解することは、これからの時代に求められる管理職像を考えることにつながります。働く人の事情が多様になるなかで、一律の働き方を求めるだけでは、人材は力を発揮できず、組織を離れていきます。部下の事情に寄り添いながら成果を導く力は、管理職に欠かせない素養になりつつあります。限られた時間で成果を出す工夫は、組織全体の生産性の向上にもつながります。
人事担当者にとっては、人材の定着や活躍を支える観点で重要な考え方です。優れた人材が、家庭の事情を理由に働き続けられなくなることは、組織にとって大きな損失です。両立を支える管理職を育てることは、多様な人材が長く活躍できる職場づくりの土台になります。イクボスという考え方を理解し、広げていくことは、人を大切にする組織への第一歩といえます。