⌖ Detail
はじめに
従業員の意欲を引き出し、成果につなげる仕組みとして、多くの企業がインセンティブを取り入れています。営業成績に応じた報奨金のような金銭的なものだけでなく、表彰や成長の機会といった金銭以外の形もインセンティブに含まれます。設計の仕方次第で、従業員の行動を望ましい方向へ後押しする力にもなれば、かえって意欲を損なう要因にもなり得ます。本記事では、インセンティブの意味や種類、実務で押さえておきたいポイントまでを、はじめて学ぶ方にも分かりやすく整理してご説明します。
インセンティブとは?
インセンティブとは、人の意欲や行動を引き出すために与えられる刺激や動機づけの総称です。人事の文脈では、従業員が目標の達成や成果の向上へ向かうよう促す仕組みを指して使われます。日本語では「報奨」や「誘因」と訳されることもあります。
インセンティブは、金銭的なものと非金銭的なものに大きく分けられます。金銭的インセンティブには、成果に連動した報奨金や賞与、ストックオプションなどがあります。非金銭的インセンティブには、表彰や称賛、裁量権の付与、成長につながる仕事の機会、働きやすい環境などが含まれます。近年は、金銭による動機づけだけでは長期的な意欲を維持しにくいという理解が広がり、非金銭的な要素と組み合わせて設計する考え方が重視されています。人が何によって動機づけられるかは一人ひとり異なるため、多面的な視点で組み立てることが求められます。
広告
よく使われるシーン
インセンティブは、営業部門の報奨制度を設計する場面でよく用いられます。売上や契約件数などの成果に応じて報奨金を支給することで、目標達成への意欲を高める狙いがあります。成果が数値で表れやすい職種では、こうした金銭的インセンティブが取り入れられることが多くあります。
一方で、成果が数値化しにくい職種や、チームでの協働が重視される場面では、非金銭的インセンティブの活用が広がっています。優れた取り組みを表彰する制度や、挑戦の機会を与える仕組みなどがその例です。また、従業員エンゲージメントの向上を目的として、承認や称賛を日常的に交わす文化づくりに取り組む企業もあります。たとえば、同僚同士で感謝を伝え合う仕組みを導入し、金銭以外の動機づけを組織に根づかせる取り組みが挙げられます。
インセンティブを理解することの重要性
インセンティブを正しく理解することは、従業員の意欲を持続的に引き出すうえで重要です。金銭的な報酬は分かりやすく即効性がある一方、それだけに頼ると、報酬がないと動かない状態を招いたり、短期的な成果に偏ったりする懸念があります。何を評価し、何に報いるのかという設計の意図が、従業員の行動を方向づけます。
また、インセンティブは公平性への配慮が欠かせません。基準が不明確であったり、一部の従業員だけが得をすると受け止められたりすると、かえって不満や不信を生みます。金銭と非金銭のインセンティブを目的に応じて組み合わせ、透明性のある基準で運用することが、制度を健全に機能させるうえで大切になります。また、いったん与えたインセンティブを取り下げると、従業員は強い不満を抱きやすいため、無理なく続けられる水準で設計することも重要です。目先の効果だけでなく、長く運用に耐える仕組みかどうかという観点を持つことで、インセンティブは組織に根づいた動機づけの手段となります。
実務で活かすためのチェックポイント
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
— SHARE with カイシャの育成論 編集部