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職務特性モデルとは?仕事の設計と動機づけの関係を解説
はじめに
同じ職場にいても、生き生きと働く人とそうでない人がいる。処遇を手厚くしたのに、意欲の低下が止まらない。こうした状況の背景を、仕事そのものの中身から読み解こうとするのが職務特性モデルです。どのような要素が備わっていれば人は仕事に前向きになれるのかを、具体的な観点で示してくれます。本記事では、職務特性モデルの内容と実務での活かし方を解説します。
職務特性モデルとは?
職務特性モデルとは、職務が備える5つの中核的な特性が、働く人の心理状態を通じて、内発的動機づけや仕事の満足度、業績、離職率に影響を与えるとする理論モデルです。アメリカの研究者であるハックマンとオルダム(J.R. Hackman & G.R. Oldham)が1970年代半ばに提唱しました。仕事の設計そのものが人の意欲を左右するという考え方を、測定できる形に整理した点に意義があります。
5つの中核的職務特性とは、多様な技能を用いる度合いを示す技能多様性、仕事の全体に最初から最後まで関われる度合いを示すタスク完結性、その仕事が他者や社会に及ぼす影響の大きさを示すタスク重要性、進め方や手順を自分で決められる度合いを示す自律性、成果の出来栄えを直接知ることができる度合いを示すフィードバックの5つです。これらが、仕事の有意味感、結果に対する責任感、結果の知識という3つの重要な心理状態を生み、望ましい成果につながるとされます。あわせて、職務が持つ動機づけの潜在力を数値化する指標として、動機づけ得点(MPS:Motivating Potential Score)も示されています。
職務特性モデルがよく使われるシーン
職務の設計や見直しを行う場面で活用されます。単調な作業が続く職務に改善の余地を探すとき、5つの特性を観点として現状を点検すると、どこに不足があるのかを具体的に把握できます。たとえば長い工程の一部だけを担当している職務であれば、タスク完結性が低い状態と捉えられます。
管理職が担当者の意欲を高めたいと考える場面でも用いられます。仕事の意味を伝える、任せる範囲を広げる、成果が本人に届く経路をつくるといった働きかけは、いずれもこのモデルの観点から説明できます。また、従業員意識調査の設問を設計する際や、職務再設計の方向性を検討する際の枠組みとしても参照されます。
職務特性モデルを理解することの重要性
職務特性モデルを理解することは、意欲の問題を個人の資質に帰さずに考える助けとなります。やる気がないと評される状態の背景に、裁量のなさや成果の見えにくさといった職務側の要因があるならば、働きかけるべき対象は人ではなく仕事の設計です。
また、5つの特性は具体的で、現場での点検に使いやすいという利点があります。意欲を抽象的に論じるのではなく、どの特性が不足しているかという形で議論できるため、改善の方向が定まりやすくなります。職務再設計に取り組む際にも、手を入れるべき箇所を絞り込む手がかりとなります。
なお、このモデルでは、成長したいという欲求の強さによって効果の表れ方が異なるとされています。裁量を広げることが誰にとっても望ましいとは限らないため、対象者の志向を踏まえて適用することが大切です。
実務で活かすためのチェックポイント
- 5つの観点で現状を点検する:技能多様性、タスク完結性、タスク重要性、自律性、フィードバックの充足度を職務ごとに確認します。
- 仕事の意味を伝える:担当する業務が誰の役に立っているのかを具体的に共有し、タスク重要性の実感を高めます。
- 任せる範囲を広げる:手順の選択や優先順位の判断を委ねることで、自律性を高めます。
- 成果が届く経路をつくる:顧客の反応や数値の結果が本人に直接伝わる仕組みを整えます。
- 本人の志向を踏まえる:成長への欲求の強さには個人差があるため、一律に適用せず対話を通じて調整します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 職務特性モデルとはどのような意味ですか。
A. 職務が備える5つの中核的特性が、3つの心理状態を通じて内発的動機づけや満足度、業績に影響を与えるとする理論モデルです。
Q2. 誰が提唱したものですか。
A. アメリカの研究者であるハックマンとオルダムが、1970年代半ばに提唱しました。
Q3. 5つの中核的職務特性とは何ですか。
A. 技能多様性、タスク完結性、タスク重要性、自律性、フィードバックの5つです。
Q4. 動機づけ得点(MPS)とは何ですか。
A. 5つの中核的職務特性の測定値をもとに、その職務が持つ動機づけの潜在力を数値化した指標です。
Q5. 実務ではどのように使えますか。
A. 職務の見直しや部下への関わり方を検討する際に、どの特性が不足しているかを点検する観点として活用できます。
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