❖ HR Dictionary

職務等級制度

Reading ショクムトウキュウセイドEnglish Job-Based Grading System

職務等級制度とは、社員が担う職務(仕事)の内容や責任の大きさ、難しさを評価し、その価値に応じて等級を定める格付けのしくみを指します。人の能力や年齢ではなく、「どのような仕事を担っているか」を基準に等級を決める点が特徴です。

⌖ Detail

はじめに

社員をどのように格付けし、処遇を決めるかは、人事制度の根幹に関わるテーマです。その考え方のひとつに、職務等級制度があります。仕事の内容や責任の重さに着目して等級を定めるこのしくみについて、本記事では、その意味や活用される場面、運用にあたって押さえておきたいポイントを整理してご紹介します。あわせて、よく似た格付けのしくみとの違いにも触れていきます。

職務等級制度とは?

職務等級制度とは、社員が担う職務(仕事)の内容や責任の大きさ、難しさを評価し、その価値に応じて等級を定める格付けのしくみを指します。人の能力や年齢ではなく、「どのような仕事を担っているか」を基準に等級を決める点が特徴です。

職務等級制度では、まず一つひとつの職務の内容を整理し、その役割や責任の範囲を明らかにします。これをまとめたものを職務記述書と呼ぶことがあります。そのうえで、職務の大きさや難易度を一定の基準で評価し、結果に応じて等級を割り当てます。等級ごとに報酬の範囲が定められ、同じ価値の仕事には同じ処遇を、という考え方が土台になります。仕事の中身と処遇の結びつきが明確になりやすい一方で、職務の内容が変われば等級も見直されるため、職務の定義や評価の基準を整えておくことが欠かせません。なお、等級をいくつ設けるか、各等級にどのくらいの報酬の幅を持たせるかは、会社の規模や方針に応じて設計されます。

職務等級制度がよく使われるシーン

職務等級制度は、人事制度の設計や見直しの場面で検討されます。とりわけ、仕事の成果や役割に応じた処遇を重視したいときや、年功的な運用を見直したいときに、選択肢として挙がります。

また、新しいポジションをつくるときや、組織を再編するときにも関わってきます。職務の内容が変わると等級も変わるため、その対応をあらかじめ確認しておく必要があります。専門性の高い職種や、担う役割の幅が大きい職種を多く抱える組織で、処遇の根拠を整理する目的から検討されることもあります。さらに、報酬を説明する場面でも基礎となります。なぜその処遇なのかを、担っている職務の価値という観点から説明しやすくなるためです。社員から処遇の根拠を尋ねられたとき、仕事の中身に基づいて答えられることは、納得感につながります。

職務等級制度を理解することの重要性

職務等級制度を理解することは、処遇の決め方や人事制度の選択肢を広げるうえで役立ちます。能力や年功を基準とするしくみとの違いを知ることで、自社にとってどのような格付けの考え方が合うのかを検討しやすくなります。近年広がりを見せる、仕事を基準とした人事制度を考えるうえでも、基礎となる考え方のひとつです。

職務等級制度には、仕事と処遇の関係が明確になりやすい、役割に応じた処遇を実現しやすいといった特徴があります。一方で、職務の内容を整理し、評価の基準を定める手間がかかること、職務が固定的になりすぎると柔軟な配置がしにくくなることなど、運用上の留意点もあります。どのしくみにも向き不向きがあり、職務等級制度が常に最適というわけではありません。大切なのは、自社の事業の特性や人材の動かし方をふまえ、複数の考え方を比べたうえで選ぶことです。また、制度は導入して終わりではなく、運用しながら職務の定義や評価の基準を見直し続けることも、納得感を保つうえで欠かせません。

実務で活かすためのチェックポイント

  1. 能力や年功ではなく、職務の価値を基準とする考え方を押さえます。
  2. 職務評価の基準を、あらかじめ整理しておきます。
  3. 等級と報酬の範囲の対応を、分かりやすく定めます。
  4. 職務が変わったときの等級の見直し方を決めておきます。
  5. 他の格付けの考え方と比べ、自社に合うかを検討します。

よくある質問(FAQ)

Q. 職務等級制度は、職能資格制度とどう違うのでしょうか。

A. 職能資格制度が人の能力の高まりに応じて等級を定めるのに対し、職務等級制度は担っている職務の価値に応じて等級を定めます。基準が「人の能力」か「仕事の中身」かという点に、大きな違いがあります。能力が高まっても、担う職務が変わらなければ等級は変わらないのが基本です。

Q. 職務等級制度では、異動がしにくくなるのでしょうか。

A. 職務に応じて等級や処遇が変わるため、配置の際には職務と等級の対応を確認する必要があります。柔軟な配置を保つには、職務の定義をあまり細かくしすぎないなど、運用上の工夫が求められます。

Q. どのような場合に向いているのでしょうか。

A. 役割や成果に応じた処遇を重視したい場合や、仕事の中身と処遇の結びつきを明確にしたい場合に向いているとされます。ただし、自社の事業や人材の特性によって適否は変わるため、他のしくみと比べて検討することが大切です。

自社の人材育成・組織課題に関するご相談

職務等級制度は、報酬や格付けの考え方に直結する制度的なテーマです。自社に合った人事制度のあり方や、等級と処遇の整え方にお悩みの際は、第三者の視点を取り入れて整理することも有効です。具体的なご相談をご希望の方は、こちらのお問い合わせ窓口(https://wonderful-growth.com/contact)よりお気軽にお問い合わせください。

関連情報

職務等級制度への理解を深めるうえでは、「職能資格制度」「役割等級制度」「職務評価」といった関連概念もあわせて確認すると効果的です。これらはいずれも、社員をどのような基準で格付けし、処遇に結びつけるかという観点でつながっています。

✺ Editor’s Memo

現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。

— SHARE with カイシャの育成論 編集部