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はじめに
会社都合で従業員を休ませることになった場合、給与の取り扱いはどうすればよいのか、迷う人事担当者は少なくありません。設備トラブルや発注元の都合による操業停止など、従業員には落ち度がないのに就業できない状況が発生することがあります。このようなとき、労働基準法が定める「休業手当」の理解が欠かせません。
休業手当とは?
休業手当とは、使用者の責めに帰すべき事由により従業員を休業させた場合に、労働基準法第26条に基づき支払いが義務づけられている手当のことです。使用者は、休業期間中、平均賃金の100分の60以上の手当を従業員に支払わなければなりません。
ここでいう「使用者の責めに帰すべき事由」には、経営判断の誤りによる操業中止や、資材の調達不足、機械の故障といった経営上のリスクに起因する事情が広く含まれると解されています。一方で、地震や台風など不可抗力による休業については、原則として休業手当の支払い義務は生じないとされています。
なお、休業手当における平均賃金の60%という水準は、あくまで労働基準法上の最低保障です。労働契約や就業規則において賃金全額を保障する旨を定めている場合、あるいは民法536条2項に基づき労働者が賃金全額を請求できると判断される場合には、60%を上回る支払いが必要になることもあります。休業命令を出す際には、単に労働基準法の最低基準だけでなく、自社の就業規則や労働契約の内容もあわせて確認する必要があります。
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よく使われるシーン
休業手当が話題になる代表的な場面として、取引先の生産調整による発注停止で工場のラインを止めざるを得なくなったケース、社内システムの障害で一部の従業員が業務を行えなくなったケース、感染症の拡大防止のために会社の判断で自宅待機を命じたケースなどが挙げられます。いずれも従業員本人には非がないため、生活保障の観点から一定の賃金支払いが求められます。
このほか、業績悪化に伴う一時帰休(いわゆるレイオフに近い一時的な休業措置)を実施する場合にも、休業手当の支払いが問題となります。一時帰休は解雇を回避するための緩衝的な措置として用いられることが多く、雇用調整助成金の活用と組み合わせて検討されるケースも少なくありません。
休業手当を理解することの重要性
休業手当の理解が不十分だと、休業時の賃金支払いを怠り、労働基準監督署からの是正勧告や、従業員との間の紛争に発展するおそれがあります。特に平均賃金の算定方法を誤ると、支払うべき金額に不足が生じ、後日追加払いが必要になることもあります。また、休業手当と労働契約上の賃金全額請求権(民法536条2項に基づく請求)との違いを理解しておくことも、人事労務担当者には求められます。近年は生産計画の急な変更や取引先都合による操業停止も珍しくないため、平時から休業発生時の対応フローを整えておくことが、混乱の少ない運用につながります。休業手当の趣旨を正しく理解している企業ほど、非常時にも従業員へ誠実に対応できているという印象を社内外に与えることができます。
実務で活かすためのチェックポイント
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
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