⌖ Detail
はじめに
優れたリーダーとは、成果を追い求める人なのか、それとも人を大切にする人なのか。リーダーシップを語るとき、しばしばこうした問いが投げかけられます。この二つを対立させるのではなく、両立させる視点を示したのが、マネジリアルグリッド理論です。管理職の育成やリーダーシップの研修でよく取り上げられる考え方であり、自らの関わり方を見つめ直す手がかりにもなります。本記事では、マネジリアルグリッド理論の意味や用いられる場面、実務で押さえておきたいポイントを整理してご紹介します。
マネジリアルグリッド理論とは?
マネジリアルグリッド理論とは、リーダーの行動を「業績への関心」と「人間への関心」という二つの軸で捉え、その組み合わせから望ましいリーダー像を導き出すリーダーシップ理論です。アメリカの研究者であるブレイクとムートンによって提唱されました。
この理論では、二つの関心をそれぞれ強さの度合いで表し、図の上に位置づけて考えます。業績への関心とは、目標の達成や成果の追求にどれだけ目を向けているかを指します。人間への関心とは、働く人の気持ちや関係性にどれだけ目を向けているかを指します。両方の関心が高い状態が、理想的なリーダーの姿とされます。成果だけを求めて人をかえりみない関わり方でも、人への配慮ばかりで成果に向き合わない関わり方でも、組織は十分に機能しません。業績と人間の双方に高い関心を持ち、両者を結びつけながらチームを導くこと。それがこの理論の示す望ましいリーダー像です。自らがどの位置にいるかを見つめ、両方の関心を高めていくことが、この理論を活かす要点となります。
広告
マネジリアルグリッド理論がよく使われるシーン
マネジリアルグリッド理論は、リーダーシップや管理職のあり方を考える場面で用いられます。たとえば、管理職向けの研修で自らの関わり方を振り返るとき、リーダーシップの型を学ぶとき、上司と部下の関係を見直すときなどです。
人材育成の現場では、この理論が自己理解の手がかりとしてよく取り上げられます。自分が業績と人間のどちらに関心を寄せがちかを見つめることで、関わり方の傾向や課題に気づきやすくなるためです。たとえば、成果を急ぐあまり部下の気持ちへの配慮が薄れていないか、あるいは関係を気づかうあまり目標への働きかけが弱まっていないか。こうした問いを通じて、自らのリーダーシップを点検する場面で、この理論が役立てられています。
マネジリアルグリッド理論を理解することの重要性
マネジリアルグリッド理論を理解することは、リーダーシップを多面的に捉える助けになります。リーダーの良し悪しを一つの尺度で測るのではなく、業績と人間という二つの視点から見つめることで、自らの関わり方をより的確に振り返ることができます。
管理職やリーダーの立場にある人にとっては、この理論が自己点検の枠組みになります。日々の業務に追われていると、自分がどのような姿勢でチームに向き合っているかを客観的に見つめる機会は限られます。二つの関心という軸を持つことで、自らの傾向に気づき、足りない関心を意識的に補っていくことができます。ただし、この理論は理想像を示すものであり、現実のリーダーシップはそれほど単純ではありません。状況や相手によって求められる関わり方は変わります。理論を絶対的な型として当てはめるのではなく、自らを振り返る手がかりとして用いる姿勢が大切です。
実務で活かすためのチェックポイント
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
— SHARE with カイシャの育成論 編集部