⌖ Detail
はじめに
組織を良くしようとして新しい戦略や制度を導入しても、思うように成果が上がらないことがあります。その背景には、組織を構成する要素が互いにかみ合っていないという問題が隠れている場合があります。組織を総合的に捉え、要素間のバランスを見直すための枠組みが、マッキンゼーの7Sです。本記事では、7Sの意味と各要素、そして活用の考え方を整理してご紹介します。
マッキンゼーの7Sとは?
マッキンゼーの7Sとは、組織を構成する要素を7つに分けて捉え、それらの相互関係から組織の状態を分析するフレームワークです。コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱したもので、7つの要素がいずれも英語のSで始まることから、この名で呼ばれています。
7つの要素は、大きく二つに分けられます。ひとつは比較的変えやすい「ハードの3S」で、戦略(Strategy)、組織構造(Structure)、システムや制度(System)が含まれます。もうひとつは変えるのに時間のかかる「ソフトの4S」で、共通の価値観(Shared Value)、人材(Staff)、スキル(Skill)、経営スタイルや社風(Style)が含まれます。中心に位置づけられるのが共通の価値観であり、ほかの6つの要素を束ねる土台とされます。7Sの考え方の核心は、これらの要素が互いに補い合い、整合しているときに組織は力を発揮するという点にあります。
広告
マッキンゼーの7Sがよく使われるシーン
7Sは、組織の現状を多面的に把握したい場面で活用されます。代表的なのが組織変革や経営改革の場面です。新しい戦略を掲げる際に、その戦略に組織構造や制度、人材のスキル、社風が見合っているかを点検し、ずれている部分を明らかにします。
合併や事業統合の場面でも、二つの組織の7Sを比較することで、統合にあたって調整すべき論点を整理できます。また、業績が伸び悩む原因を探る際にも有効です。問題を戦略だけ、あるいは制度だけに求めるのではなく、7つの要素全体を見渡すことで、見落とされていた要因に気づきやすくなります。新しい制度を導入したのに定着しないといった場合に、ソフトの4Sとの不整合を確認する用途でも使われます。
マッキンゼーの7Sを理解することの重要性
マッキンゼーの7Sを理解することは、組織を部分ではなく全体として捉える視点を持つことにつながります。組織の課題は、つい目につきやすい要素、たとえば戦略や組織図だけに原因を求めがちです。しかし実際には、変えやすいハードの要素を整えても、変わりにくいソフトの要素がついてこなければ、変革は機能しません。
7Sの価値は、ハードとソフトの両面を漏れなく見渡し、要素間の整合性に目を向けさせてくれる点にあります。一方で、7Sはあくまで現状を整理し、問題を発見するための枠組みであり、これを使えば答えが出るというものではありません。各要素を当てはめて満足するのではなく、要素どうしがどうかみ合っていないのかを読み解き、打ち手につなげることが大切です。特に共通の価値観を軸に据え、そこから各要素の整合を考えることで、地に足のついた組織づくりが進めやすくなります。
実務で活かすためのチェックポイント
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
— SHARE with カイシャの育成論 編集部