随意契約とは?意味・入札との違い・行政での使われ方をわかりやすく解説随意契約(ずいいけいやく)とは、国や地方自治体などの公的機関が、特定の相手と直接契約を締結する方式のことを指します。通常の公共調達では「一般競争入札」や「指名競争入札」が原則ですが、一定の条件を満たす場合に限り、複数業者による競争を経ずに、任意で契約相手を選定できる特例的な契約方式です。随意契約の定義と概要項目内容読み方ずいいけいやく英語表記Discretionary Contract / Non-competitive Contract対象国・自治体・独立行政法人などの公的機関特徴入札なしで、特定の相手と契約できる法的根拠会計法第29条の3、地方自治法施行令第167条の2など随意契約と入札方式の違い比較項目随意契約一般競争入札契約先の決定方法行政が直接選定入札により最も有利な条件を提示した業者透明性相対的に低い高い(公平性・公開性がある)手続きの迅速性高い時間がかかる場合がある利用できる条件限定的(法令で厳格に定義)原則的にすべての契約随意契約が認められる主なケース(例)随意契約は自由に選べるものではなく、以下のような「やむを得ない理由」がある場合に限って許可されます。例内容1. 緊急の契約災害対応や突発的な修理など、時間をかけられないケース2. 競争性がない特定の製品・技術を独占的に提供している会社(例:ソフトの保守契約)3. 少額契約契約金額が一定の基準額を下回る場合(※金額基準は官庁・自治体により異なる)4. 継続契約過去に同一の事業者と継続的に取引しており、変更が非合理な場合5. 公益上の必要特定の団体や事業者でなければ実施できない内容(例:社会福祉法人への委託)随意契約の注意点と批判されやすいポイント✔ 公平性・透明性の欠如入札を経ないため、「なぜその事業者に決めたのか」の説明責任が生じます。不適切な随意契約は「談合・癒着の温床」と批判されるリスクがあります。✔ 会計検査院・監査対象になりやすい公金の使い道としての正当性が求められるため、文書による記録・説明責任の徹底が必須です。随意契約を行う際の手続き(一般的な流れ)随意契約の適用理由を整理緊急性、独占性、少額など法令根拠に該当するかを確認内部決裁・事前審査監査部門・コンプライアンス部門が関与する場合も契約先の選定と価格交渉契約金額の妥当性が必要(相見積もりをとることもある)契約書の締結と記録保存根拠・価格・業者選定理由を明記した書面を保管よくある誤解:「随意契約=非公開・自由に選べる」ではない誤解:「行政が自由に選べる手段」実態:「法令で厳格に定義された特例。監査・説明責任が前提」適正に運用されれば、緊急対応や専門性の高い業務を迅速に進めることができますが、ルールを守らない随意契約は不正や疑惑の温床にもなり得ます。まとめ:随意契約は「例外的な契約方式。信頼と説明責任が鍵」随意契約は、あくまで「例外的に認められる特別な契約手段」であり、公平性と透明性を担保するための十分な理由と記録が不可欠です。行政・公的機関では、効率と信頼性の両立を図るために、随意契約の適正運用と情報公開が強く求められています。