オンブズパーソンとは?意味・役割・企業や自治体での活用をわかりやすく解説オンブズパーソン(Ombudsperson)とは、組織や制度の中で、不正や不公平・ハラスメント・権利侵害などが起きたときに、第三者的な立場から調査し、是正や改善を促す役割を担う人を指します。もともとはスウェーデンの行政制度に由来する言葉で、公的機関や企業、大学などでの内部通報の受け皿や相談窓口の機能としても広く活用されています。オンブズパーソンの言葉の意味と背景語源:スウェーデン語の "Ombudsman"(代理人、代弁者)が語源。現在は性別中立の表現として「オンブズパーソン」が一般的に使用されます。英語表記:ombudsperson、ombudsman(古い表記)、ombuds(略語)オンブズパーソンの主な役割と機能役割説明苦情・相談の受付従業員や市民などからの通報や相談を受け付け、公正に扱う調査と事実確認利害関係を持たない立場から、状況を丁寧にヒアリング・調査する改善提案・助言問題の是正や再発防止に向けて、組織に対して提案や助言を行う秘密保持・中立性の担保通報者のプライバシーを守り、偏りのない姿勢で対応するオンブズパーソンが活用される主なシーン1. 企業内の内部通報・コンプライアンス対応ハラスメントや不正行為、職場の人間関係のトラブルなどを社内で安心して相談できる中立的な窓口としてオンブズパーソン制度が導入されています。外部弁護士や社外委員が任命されることもあります。2. 自治体・行政の市民相談窓口行政の運営に対して市民からの苦情や意見を受け付け、公的サービスの透明性や公平性を確保する機関としてオンブズパーソン制度が機能しています。3. 大学・教育機関における学生支援大学などでは、教職員とのトラブルや学内ハラスメントの相談先としてオンブズパーソン制度を導入するケースも増えています。企業におけるオンブズパーソン制度のメリット項目内容組織の透明性向上外部の目を入れることで、不正や不満の隠蔽を防ぎやすくなるハラスメント防止早期の相談・介入によって、深刻化を未然に防ぐことができる従業員の心理的安全性向上安心して意見や不満を伝えられる環境が整うコンプライアンス体制の強化企業倫理やガバナンス体制の強化につながる導入時の注意点と成功のポイント中立性・独立性の確保 社内の上下関係や評価に左右されない、第三者性のある立場を設けることが信頼性のカギになります。秘密保持の徹底 相談内容が漏れない体制を整え、通報者が不利益を被らないことを明文化しておく必要があります。制度の周知とアクセスのしやすさ 相談窓口の存在や利用方法が社員全体に知られていなければ、制度があっても機能しません。イントラネット、社内研修、ポスターなどでの告知が有効です。相談後の対応とフィードバック 相談を受けた後の調査→報告→改善までのプロセスを明確化し、誠実に対応することが、制度の信頼につながります。オンブズパーソン制度の導入事例(参考)サントリーホールディングス:人権問題や職場環境に関する外部相談窓口を設置東京大学:学内の研究倫理やハラスメントに対応するオンブズパーソン制度を導入仙台市・川崎市などの自治体:行政サービスの公平性を確保するための市民オンブズ制度を導入まとめ:オンブズパーソンは「組織の信頼性と健全性を守る代弁者」オンブズパーソンは、単なる相談窓口ではなく、組織の中で声を上げづらい人の立場を守り、改善を促す“内部の良心”のような存在です。健全な組織文化をつくるためには、声を拾い、耳を傾け、行動する仕組みが欠かせません。オンブズパーソン制度は、組織の持続可能性や社会的信頼の土台を支える重要な役割を果たしています。