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クロストレーニングとは?属人化を防ぐ育成手法と導入の進め方を解説
はじめに
担当者が休むと業務が止まる。異動のたびに引き継ぎで混乱が生じる。その背景には、業務が特定の個人に固定され、他の誰も対応できない構造があります。クロストレーニングは、担当外の業務を習得する機会を計画的につくることで、この構造を解きほぐす育成手法です。本記事では、その内容と導入の進め方を解説します。
クロストレーニングとは?
クロストレーニングとは、従業員が自分の担当以外の職務を習得できるようにする育成手法を指します。もともとはスポーツ分野で専門種目以外の運動を取り入れる訓練方法を指す言葉でしたが、人材育成の文脈では、複数の業務を遂行できる状態を目指す取り組みとして用いられます。代表的な形態のひとつが、部署間で一定期間人材を交換する方式です。互いの部門にスタッフを送り出し、相手部門の一員として実際に業務を経験します。ホテル業界などのサービス産業で導入例が知られ、他部門の仕事を体験することで部門間の相互理解と連携の質が高まる効果が期待されます。同一部門内で担当業務を計画的に入れ替える形態もあります。一人しか対応できない業務を解消するため、複数名が同じ業務を習得できるよう、期間を区切って担当を交代させる方法です。関連する概念に多能工化があります。多能工化は、一人が複数の業務や工程をこなせる状態そのものを指す言葉で、主に製造業で用いられてきました。これに対してクロストレーニングは、その状態に至るための訓練の方法を指します。目指す状態と、そこへ至る手段という関係で整理すると分かりやすくなります。
クロストレーニングがよく使われるシーン
業務の属人化を解消したい場面が代表的です。特定の担当者しか対応できない業務が残っていると、休暇の取得や急な欠員に対応できません。複数名が対応できる状態をつくることで、業務継続性が高まります。繁閑の差が大きい職場でも活用されます。忙しい部署に他部署の人員が応援に入れる体制をつくることで、人員配置の柔軟性が増し、残業の偏りを抑えられます。事業継続計画の観点からも位置づけられます。災害や感染症の流行によって出勤できる人員が限られる状況では、複数の業務に対応できる人材の存在が、事業の維持に直結します。人材育成の観点では、若手のキャリア形成の手段として用いられます。複数の業務を経験することで、自分の適性や関心を確かめる機会となり、その後の配置やキャリア面談の材料にもなります。
クロストレーニングを理解することの重要性
この手法を理解する意義は、属人化の解消を個人の努力ではなく、仕組みとして扱えるようになる点にあります。引き継ぎ資料の作成を呼びかけるだけでは、業務は分散しません。実際に他者が担当し、経験する機会を制度として組み込むことで、初めて対応できる人が増えていきます。ただし、導入には注意点があります。第一に、受け入れ側と送り出し側の双方に負担が生じることです。教える側の工数を業務量として見込まないまま実施すれば、現場の疲弊を招きます。実施期間中の業務量を調整することが前提となります。第二に、習得の到達点を定めることです。どの業務を、どの水準まで、いつまでに習得するのかが曖昧なままでは、体験して終わりになりかねません。スキルマップなどを用いて、各業務の対応可能者と習熟度を可視化し、計画と実績を管理することが有効です。第三に、本人の納得感です。担当外の業務を学ぶことが、本人にとってどのような意味を持つのかが伝わらなければ、余計な仕事と受け止められます。キャリア形成上の位置づけや、習得した力をどう評価するのかを説明することが求められます。あわせて、専門性の深化とのバランスも論点となります。幅を広げることが常に望ましいわけではなく、職務の性質や本人のキャリア志向を踏まえた判断が必要です。
実務で活かすためのチェックポイント
- 属人化している業務を洗い出し、優先して分散させる対象を絞り込む。
- 習得する業務と到達水準、期間を計画として明文化する。
- 教える側の工数を業務量として見込み、実施期間中の負荷を調整する。
- スキルマップで対応可能者と習熟度を可視化し、進捗を継続的に管理する。
- 本人にキャリア上の意味づけと評価への反映を説明し、納得を得たうえで実施する。
よくある質問(FAQ)
Q1. クロストレーニングとは何ですか。
A. 従業員が自分の担当以外の職務を習得できるようにする育成手法で、部署間で人材を交換する形態などがあります。
Q2. 多能工化とはどう違いますか。
A. 多能工化は複数の業務をこなせる状態を指し、クロストレーニングはその状態に至るための訓練方法を指します。
Q3. どのような効果が期待できますか。
A. 業務の属人化の解消、繁閑への柔軟な対応、部門間の相互理解、事業継続性の向上などが挙げられます。
Q4. 導入時に最も気をつけることは何ですか。
A. 教える側の工数を業務量として見込むことです。負荷を調整しないまま実施すると現場の疲弊を招きます。
Q5. 習得状況はどのように管理しますか。
A. スキルマップを用いて業務ごとの対応可能者と習熟度を可視化し、計画と実績を継続的に管理します。
自社の人材育成・組織課題に関するご相談
クロストレーニングは、業務の棚卸し、スキルの可視化、評価との接続を伴ってはじめて定着します。属人化の解消、スキルマップの整備、育成計画の設計にお悩みの際は、貴社の状況に合わせてご一緒に検討いたします。ご相談は下記よりお気軽にお問い合わせください。
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