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はじめに
組織改編や等級制度の見直しによって、ある社員の給与が、新しい等級の上限額を超えてしまうことがあります。降格や減給を避けるために給与を据え置く対応をとった結果、その社員だけが等級の枠を超えた特別な扱いになるケースです。この状態を表す言葉が「レッドサークルレート」です。本記事では、その意味と報酬制度の運用における注意点を整理します。
レッドサークルレートとは?
レッドサークルレート(Red Circle Rate)とは、従業員の給与が、現在の職務や等級に定められた給与レンジの上限を超えている状態を指す言葉です。等級制度において、各等級には給与の上限額と下限額からなる給与レンジが設定されていますが、組織改編による等級の見直し、職務の縮小、降格、あるいは急激な業績悪化に伴う等級構成の変更などが起きた際に、対象者の給与が新しい等級の上限を上回ってしまうことがあります。このとき、企業が該当者の給与をただちに引き下げるのではなく、当面は現在の給与水準を維持する措置をとる場合、その給与は「レッドサークル」の状態にあると呼ばれます。給与管理システムや報酬台帳では、このような例外的な給与を目立たせるために赤色の印を付けて管理していたことが、名称の由来とされています。上限を超えた給与を据え置く一方で、その後の昇給を抑制したり、等級が追いつくまで昇給を停止したりする運用が一般的です。海外の報酬管理の実務書や人事労務向けのオンライン用語集でも、給与制度の運用上避けて通れない例外事項として取り上げられており、等級制度を持つ企業であれば規模を問わず発生し得る事象とされています。
よく使われるシーン
レッドサークルレートという言葉は、次のような場面で使われます。組織再編や事業縮小に伴い等級制度を見直す際に、既存の給与が新しい等級レンジからはみ出す社員がいないかを点検する場面。等級の格下げに該当する人事異動を行う際に、対象者の給与を即座に引き下げるか、当面維持するかを検討する場面。報酬制度全体を刷新するプロジェクトにおいて、新旧制度の移行に伴う例外的な給与の扱いを整理する場面。そして、人事部門が定期的な給与監査を行い、等級とのミスマッチを洗い出す場面です。
レッドサークルレートを理解することの重要性
人事担当者がレッドサークルレートを理解しておくことには、複数の意味があります。第一に、公正な処遇と従業員の生活への配慮を両立させるためです。給与を急に引き下げることは、対象者の生活への影響が大きく、モチベーションの低下や離職につながるおそれがあるため、一定の移行期間を設ける対応が広く行われています。第二に、報酬制度全体の整合性を保つためです。例外的な給与をそのまま放置すると、等級と給与の対応関係が崩れ、他の従業員から見た制度の納得感が損なわれます。第三に、人件費の管理という観点です。上限を超えた給与が長期間据え置かれると、同じ等級の中で不均衡が固定化し、将来の昇給計画にも影響します。レッドサークルレートは一時的な例外措置として扱い、解消に向けた方針をあらかじめ定めておくことが重要です。
実務で活かすためのチェックポイント5項目
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
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