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リテンションマーケティング

Reading リテンションマーケティングEnglish Retention

リテンションマーケティング(Retention Marketing)とは、新規顧客の獲得に偏らず、既存顧客との関係を継続的に深め、長期的な取引と支持を得ることに重点を置いたマーケティングの考え方です。元来はマーケティング領域の概念で、新規顧客獲得コストよりも既存顧客維持コストのほうが低く、収益性に与える影響も大きいとする研究知見に基づいて発展しました。近年、この考え方が人事領域に応用され、社員を「内部の重要な顧客」と位置づけ、入社後の継続的な関係構築によって長期定着と組織貢献を高めるアプローチとして注目されています。人事領域でのリテンションマーケティングは、エンプロイー・エクスペリエンス(社員体験)の設計、オンボーディングの充実、継続的なエンゲージメント施策、キャリア支援、退職者との関係維持(アルムナイ)などを包括的に扱う枠組みとして用いられます。マーケティング領域で培われた手法――顧客セグメンテーション、ジャーニーマップ、タッチポイント設計、満足度調査、ロイヤリティプログラムなど――を社員との関係構築に転用する点が特徴です。採用市場の競争激化と労働力人口の減少を背景に、「採用するより、辞めない仕組みをつくる」発想は、戦略的な人事課題として比重を高めています。

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リテンションマーケティングとは?意味・使い方・実務での活かし方を解説

最終更新日: 2026-05-21 / カテゴリ: 採用 / 英語表記: Retention Marketing

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はじめに

「採用に多くのコストをかけても、入社後の早期離職で人材が定着しない」「社員一人ひとりを大切な顧客のように扱う発想を、人事に取り入れたい」――こうした問題意識から関心が高まっているのが、リテンションマーケティングの考え方を採用・人事領域に応用する取り組みです。本記事では、リテンションマーケティングの意味、活用シーン、実務上の留意点を、人事担当者の視点で整理します。

リテンションマーケティングとは?

リテンションマーケティング(Retention Marketing)とは、新規顧客の獲得に偏らず、既存顧客との関係を継続的に深め、長期的な取引と支持を得ることに重点を置いたマーケティングの考え方です。元来はマーケティング領域の概念で、新規顧客獲得コストよりも既存顧客維持コストのほうが低く、収益性に与える影響も大きいとする研究知見に基づいて発展しました。近年、この考え方が人事領域に応用され、社員を「内部の重要な顧客」と位置づけ、入社後の継続的な関係構築によって長期定着と組織貢献を高めるアプローチとして注目されています。人事領域でのリテンションマーケティングは、エンプロイー・エクスペリエンス(社員体験)の設計、オンボーディングの充実、継続的なエンゲージメント施策、キャリア支援、退職者との関係維持(アルムナイ)などを包括的に扱う枠組みとして用いられます。マーケティング領域で培われた手法――顧客セグメンテーション、ジャーニーマップ、タッチポイント設計、満足度調査、ロイヤリティプログラムなど――を社員との関係構築に転用する点が特徴です。採用市場の競争激化と労働力人口の減少を背景に、「採用するより、辞めない仕組みをつくる」発想は、戦略的な人事課題として比重を高めています。

リテンションマーケティングがよく使われるシーン

リテンションマーケティングは、採用戦略・人材定着・社員エンゲージメントの文脈で活用されます。

早期離職対策*: 入社後1~3年の離職を抑制するためのオンボーディング・フォロー設計に参照されます。

エンプロイー・エクスペリエンス(EX)設計*: 採用から退職までの社員体験全体を、顧客体験の設計手法で再構築する場面で用いられます。

アルムナイネットワーク運営*: 退職した元社員との関係を保ち、再雇用・紹介・取引パートナー化へつなげる施策で活用されます。

エンゲージメント向上施策*: 社員ロイヤリティを高めるための継続的な打ち手の枠組みとして参照されます。

採用ブランディングとの統合*: 既存社員の満足度が採用市場での評判に直結することを踏まえ、採用と定着を一体運用する戦略設計で重視されます。

リテンションマーケティングを理解することの重要性

リテンションマーケティングを正しく理解することは、人事戦略と組織パフォーマンスにとって重要な意味を持ちます。

人材獲得コストの抑制*: 採用に偏った人材戦略から、定着重視へとリソース配分を見直す視点が得られます。

組織知の蓄積*: 長期勤続者の経験・知識・人脈は、属人化を超えた組織資産として機能します。

採用市場での競争力*: 既存社員の満足度と長期定着は、口コミや評判を通じて採用ブランドを底上げします。

退職者との継続的関係*: アルムナイネットワークは、新規採用・業務委託・パートナーシップなど多面的な価値を生みます。

実務で活かすためのチェックポイント

リテンションマーケティングを自社の現場で活用する際には、次のような観点で確認すると、運用の精度が高まります。

  1. 採用から退職、さらにアルムナイ期まで、社員ライフサイクル全体を一つのジャーニーとして設計し、各局面のタッチポイントを可視化する
  2. 入社後30日・90日・180日・1年といった節目に、定着状況とエンゲージメントを把握する仕組みを整え、早期離職の兆候を見逃さない設計を取る
  3. 社員セグメント別(職種・等級・在籍年数・拠点等)に施策を最適化し、画一的な施策ではなく属性に応じた支援が届く設計を行う
  4. 退職時のオフボーディングを「最後の関係構築機会」と位置づけ、退職理由のヒアリング・感謝の伝達・アルムナイへの招待を丁寧に行う
  5. リテンション施策の効果を、離職率だけでなく、エンゲージメントスコア・社内紹介数・採用ブランド評価などの複合指標で継続的に評価する

よくある質問(FAQ)

Q. 社員を「内部顧客」と捉えるアプローチは、雇用関係の本質を歪めることにならないでしょうか?

A. これは重要な指摘で、リテンションマーケティングを誤って導入すると陥りやすい論点です。社員を「内部顧客」と捉える比喩は、社員を満足させ続けるだけの受動的な対象として扱うことを意味するものではありません。マーケティング領域でも、優れた顧客関係は一方的なサービス提供ではなく、相互の信頼と価値の交換に基づく対等な関係として捉えられています。人事領域への応用でも同様で、社員を尊重し、その経験と能力を活かす場を提供し、適切な処遇と成長機会を整えるとともに、社員側にも組織への貢献と成果を期待する双方向の関係として設計することが本来の趣旨です。重要なのは、社員の満足度を高めることそのものが目的化するのではなく、社員と組織の双方にとって長期的に価値ある関係を築くという視座を保つことです。比喩はあくまで手法を整理するためのものであり、雇用関係の本質を市場取引に置き換えるものではないと理解することが大切です。

Q. リテンションマーケティングの効果を、どのように測定すればよいでしょうか?

A. 効果測定では、単一指標に依存せず、複数の指標を組み合わせて長期的に追うことが推奨されます。基本となる指標は、第一に「離職率」です。全体離職率、入社1年以内離職率、評価別離職率、職種別離職率などに分解して観察します。第二に「エンゲージメントスコア」です。定期サーベイで、組織への愛着・貢献意欲・推奨意向(eNPS)などを継続的に測定します。第三に「在籍年数の中央値」です。平均値だけでなく中央値を見ることで、特定の長期勤続者に引っ張られない実態を把握できます。第四に「社内紹介経由の入社率」です。社員自身が知人に紹介したくなる組織であるかの代理指標となります。第五に「外部評価」です。求人サイトや口コミサイトでの企業評価、採用市場での認知度などを観察します。第六に「アルムナイ関連指標」として、退職者の再雇用率、紹介経由の取引、アルムナイイベントの参加率などを追います。これらを一つのダッシュボードに統合し、四半期・半期・年次でレビューする運用が現実的です。

まとめ

リテンションマーケティングとは、新規顧客獲得よりも既存顧客との長期的関係構築に重点を置くマーケティングの考え方で、近年は人事領域に応用されて社員定着と社員体験設計の枠組みとして用いられています。エンプロイー・エクスペリエンス、オンボーディング、エンゲージメント施策、アルムナイネットワークなどを包括的に扱う点が特徴で、採用市場の競争激化と労働力人口減少を背景に重要性を高めています。ライフサイクル全体のジャーニー設計、節目ごとの定着把握、セグメント別の最適化、オフボーディングの丁寧な運用、複合指標による効果測定という観点で、自社に合った設計を進めることが望まれます。

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本記事は、人事担当者・経営者・現場マネージャーの皆さまが、ご自身の課題解決のヒントとして活用いただくことを目的に作成しています。実際の制度設計や法令対応にあたっては、専門家への確認をおすすめします。

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