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つながらない権利とは?意味・使い方・実務での活かし方を解説
はじめに
テレワークやチャットツールの普及により、仕事と私生活の境界が曖昧になり、休日や深夜でも業務連絡が届くことが珍しくなくなっています。こうした状況を背景に、勤務時間外の働き方を見直す考え方として注目されているのが「つながらない権利」です。本記事では、その意味や広がりの背景、実務で活かす際のポイントを解説します。
つながらない権利とは?
つながらない権利とは、従業員が勤務時間外や休日に、業務上のメールや電話、チャットなどへの対応を拒否できる権利のことです。2016年にフランスで労働法が改正された際に盛り込まれ、従業員50人以上の企業に対し、勤務時間外のデジタル機器の利用に関するルールを労使で協議することが義務付けられたことをきっかけに、世界的に知られるようになりました。その後、イタリアやスペイン、ベルギーなど複数のヨーロッパ諸国でも同様の法整備が進んでいます。日本では、つながらない権利を直接定めた法律はまだありませんが、厚生労働省の労働基準関係法制研究会の報告書でも、勤務時間外の業務連絡を制限するガイドライン策定の必要性が議論の対象として取り上げられており、今後の法制度の動向が注目されています。
つながらない権利がよく使われるシーン
つながらない権利は、テレワーク規程や労働時間管理のルールを整備する場面で参照されることが多い考え方です。勤務間インターバル制度の導入を検討する社内プロジェクトでも、休息時間の実効性を確保する観点からあわせて議論されます。管理職向けの労務管理研修では、部下への時間外連絡を控える意識づけの題材として取り上げられることがあります。36協定の見直しや働き方改革関連の社内プロジェクトにおいて、長時間労働対策の一環として検討されることもあります。従業員エンゲージメント調査の結果を分析する場面でも、時間外連絡の頻度と満足度の関係を確認する切り口として取り上げられることがあります。
つながらない権利を理解することの重要性
つながらない権利を理解する意義は、労働時間として計上されない「見えない拘束」に目を向けられるようになる点にあります。勤務時間外の連絡が常態化すると、たとえ実際の作業時間は短くても、従業員は常に仕事のことを意識せざるを得ず、十分な休息が取れないままメンタルヘルス不調や離職につながるおそれがあります。特に管理職や、対応の早さが評価に直結しやすい立場の従業員ほど、休日や深夜の連絡に応答してしまいがちであり、意識的なルールづくりが欠かせません。人事担当者にとっては、つながらない権利の考え方を社内に浸透させることが、勤務間インターバル制度など既存の労務管理施策の実効性を高め、従業員の健康確保と企業の魅力向上の両面につながります。
実務で活かすためのチェックポイント
- 勤務時間外の連絡について、原則禁止とする範囲や、緊急時の例外的な連絡手順をルールとして明文化する。
- メールソフトの送信予約機能などを活用し、夜間や休日に作成した連絡を翌営業日に送る運用を促す。
- 管理職向けに、部下への時間外連絡を控える意識づけを目的とした研修を実施する。
- 時間外の連絡に応答しなかったことを理由に、人事評価などで不利益な扱いをしない旨を明確にする。
- 勤務間インターバル制度やテレワーク規程など、関連する労務管理施策とあわせて一体的に検討する。
よくある質問(FAQ)
Q1. つながらない権利は日本の法律で義務化されていますか。
A. 2026年8月時点では、つながらない権利を直接義務付ける法律は日本にはありませんが、厚生労働省の研究会報告書などで議論の対象として取り上げられています。
Q2. つながらない権利はどの国で最初に法制化されましたか。
A. 2016年にフランスで労働法が改正された際に盛り込まれたのが始まりとされ、その後イタリアやスペイン、ベルギーなど複数のヨーロッパ諸国に広がりました。
Q3. つながらない権利と勤務間インターバル制度はどう違いますか。
A. 勤務間インターバル制度は勤務終了から次の勤務開始までの休息時間を確保する制度であるのに対し、つながらない権利は勤務時間外の連絡そのものへの対応を拒否できる権利であり、休息の質を補完し合う関係にあります。
Q4. 緊急時の連絡まで一律に禁止するべきですか。
A. 多くの場合、緊急時の連絡手順は例外として残しつつ、何を緊急とみなすかをあらかじめ定義しておくことが望ましいとされています。
Q5. つながらない権利への対応は企業にどのようなメリットがありますか。
A. 従業員の健康確保やメンタルヘルス不調の予防に加え、働きやすい職場としての魅力向上につながり、採用や定着の面でもプラスに働くと考えられています。
Q6. 経営層や管理職からはどのように理解を得ればよいですか。
A. 時間外連絡の抑制が長時間労働の是正やハラスメント防止に直結すること、また働きやすさが採用競争力の向上につながることを、具体的なデータとあわせて説明すると理解を得やすくなります。
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