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はじめに
大人数で話し合う場では、一部の人ばかりが発言し、多くの人が聞き役にとどまってしまうことがあります。一人ひとりの考えを引き出し、互いの知恵を結びつけるにはどうすればよいのでしょうか。カフェのようなくつろいだ雰囲気のなかで、テーブルを移りながら対話を重ねる手法が、ワールドカフェです。組織開発や人材育成に携わる人にとって、参加者の声を生かす場づくりの手がかりになります。本記事では、その意味や用いられる場面、実務で押さえておきたいポイントを整理してご紹介します。
ワールドカフェとは?
ワールドカフェとは、カフェのようなくつろいだ雰囲気のなかで、少人数のテーブルに分かれて対話を行い、メンバーを入れ替えながら話し合いを重ねることで、参加者全体の知恵を生み出していく対話の手法です。1990年代に提唱され、組織や地域など、さまざまな場で用いられてきました。
進め方には特徴があります。参加者は四、五人ほどのテーブルに分かれ、あるテーマについて自由に語り合います。一定の時間が過ぎると、各テーブルから一人を残してほかのメンバーは別のテーブルへ移ります。残った人は、前の対話で話されたことを新しいメンバーに伝え、また話し合いを続けます。これを何度か繰り返すことで、対話の内容がテーブルを越えて広がり、つながっていきます。
テーブルには大きな紙を置き、話しながら言葉や図を書き留めることもよく行われます。こうした工夫により、一人ひとりが気軽に発言でき、互いの考えが結びつきやすくなります。少人数の対話を重ねながら、参加者全体の知恵を引き出していく点に、この手法のねらいがあります。テーブルを移るたびに新しい顔ぶれと出会うため、対話のなかで思いがけない発想が生まれることもあります。
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ワールドカフェがよく使われるシーン
この手法は、多くの人の声を生かしたい場面で用いられます。たとえば、組織のビジョンを参加者とともに考えたいとき、部門を越えた相互理解を深めたいとき、研修やイベントで活発な対話を促したいときなどです。社内の集まりだけでなく、地域や教育の場でも活用されています。
組織運営の現場では、大人数の会議になるほど、発言する人が限られ、多くの人が受け身になりがちです。ワールドカフェの考え方は、そうした状況に変化のきっかけをもたらします。少人数の対話とメンバーの入れ替えを通じて、一人ひとりが話しやすく、互いの考えに触れやすくなるためです。参加者が主体的に関わる雰囲気を生み出しやすい点が、広く用いられる理由といえます。また、特別な設備を必要とせず、机と紙があれば実施できる手軽さも、さまざまな現場で取り入れられてきた背景にあります。
ワールドカフェを理解することの重要性
この手法を理解することは、対話の場のつくり方によって、引き出される知恵が変わることを知る助けになります。同じ人数が集まっても、進め方しだいで発言のしやすさは大きく異なります。場の設計に目を向けることは、組織の対話を考えるうえで意味をもちます。
人材育成やマネジメントの観点からは、参加者の主体性を引き出す工夫を学ぶ手がかりになります。指示や説明によって一方的に伝えるのではなく、語り合いを通じて気づきを促す進め方は、研修や話し合いの設計に生かせます。ただし、ワールドカフェは、形式をなぞれば成果が出るものではありません。問いの立て方や場の雰囲気づくりが、対話の深まりを左右します。手法の手順だけでなく、何のために対話するのかという目的を見すえる姿勢が求められます。
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
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