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中堅社員の育成は、研修の後の職場に計画が要る

中堅社員に研修を実施した事業所の割合は、新入社員とほぼ同じです。一方、職場で計画的に育てている事業所は38.7%にとどまります。任せる仕事と期間、見届ける人を決め、研修で学んだことを職場で使う場面を用意することが欠かせません。

公開日
2026/10/05
更新日
2026/10/05
読了時間
約 10 分
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
OJT研修設計マネジメント管理職育成

厚生労働省の「令和7年度能力開発基本調査」によると、中堅社員にOFF-JT(通常の仕事を一時的に離れて行う研修)を実施した事業所は57.4%で、新入社員の58.7%とほぼ並びます。ところが、計画的なOJTを実施した事業所は、新入社員が52.3%、中堅社員が38.7%でした。中堅社員の育成で手薄になりやすいのは、研修の後の職場です。何を任せ、いつまでに、誰が見届けるかを決めておくことが、育成の要です。

研修は新入社員と並ぶが、計画的なOJTは38.7%

この調査は2025年10月1日時点の状況を尋ねたもので、2026年7月31日に公表されました。事業所調査の対象は7,194事業所、有効回答率は54.2%です。調査の用語の説明では、新入社員は「入社後3年程度までの者」、管理職層は「管理又は監督の任にある者」です。中堅社員は「管理職層及び新入社員に該当しない者」とされています。

正社員にOFF-JTを実施した事業所の割合を対象別に見ると、新入社員が58.7%、中堅社員が57.4%、管理職層が49.0%でした。実施したOFF-JTの内容(複数回答)でも、「新たに中堅社員となった者を対象とする研修」は49.3%あります。最も多い「新規採用者など初任層を対象とする研修」の75.7%に次ぐ割合です。中堅社員にも、研修の機会は届いています。

差が開くのは、職場での育成です。計画的なOJTとは、日常の業務に就きながら行う教育訓練のうち、計画を立てて段階的・継続的に行うものです。調査では、計画書を作るなどして教育担当者・対象者・期間・内容を具体的に定めたものを指します。実施した事業所の割合は、新入社員が52.3%、中堅社員が38.7%、管理職層が24.9%でした。新入社員には担当者と期間を決めて教える事業所が半数を超えますが、中堅社員では4割を下回ります。

同じ調査では、能力開発や人材育成に何らかの問題があるとする事業所が80.1%にのぼりました。問題点(複数回答)の上位は、「指導する人材が不足している」の59.5%、「人材を育成しても辞めてしまう」の51.6%、「人材育成を行う時間がない」の45.5%です。指導する人と時間が限られる職場では、育成の計画が新入社員に先に割り当てられ、中堅社員は仕事を任せること自体が育成の代わりになっていると考えられます。

図解01

研修は新入社員と並ぶが、計画的なOJTは38.7%

新入社員入社後3年程度までの者

中堅社員管理職層及び新入社員に該当しない者

管理職層管理又は監督の任にある者

  • 新入社員入社後3年程度までの者
  • 中堅社員管理職層及び新入社員に該当しない者
  • 管理職層管理又は監督の任にある者
項目新入社員中堅社員管理職層
OFF-JT58.7%57.4%49.0%
計画的なOJT52.3%38.7%24.9%
新入社員には担当者と期間を決めて教える事業所が半数を超えますが、中堅社員では4割を下回ります。出典:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」(2026年7月公表。事業所調査、2025年10月1日時点。正社員に実施した事業所の割合)

入社5年目から7年目は、仕事の広がりを感じにくい

リクルートマネジメントソリューションズは2025年2月、入社1年目から12年目の社員2,110名を調査しました(「若手・中堅社員の組織適応に関する現状把握調査(2025)」、2025年8月公表)。対象は、従業員500人以上の企業に新卒で入社し、現在もその企業に勤める大学卒・大学院卒の正社員です。離職意向が高まる時期は、3年目と5〜7年目でした。

同社の分析では、3年目は仕事の領域が急に広がり、負荷が増す時期です。5〜7年目は反対に、仕事の領域が広がらないと感じられ、この先成長していけるという展望を持ちにくい時期だとされています。自分から仕事の内容や幅を広げようとする行動も、3年目と5〜7年目で低くなっていました。

管理職を目指したいという気持ちは、4年目から7年目まで次第に下がり、8年目以降に上がっていきます。後輩の相談に乗る、上司と職場メンバーの橋渡しをするといった職場リーダーとしての行動ができているという自己評価は、7年目以降に上がっていました。管理職志向は、それより1年遅れて同じように上がっています。同社はこの結果から、将来担う役割を前倒しして経験させることが育成に有効だと示唆されるとしています。

この調査には離職した人のデータが含まれず、同じ集団を追いかけた調査でもありません。年次による傾向の違いとして読む必要があります。それでも、仕事を一通り任せられるようになった後に成長の見通しを持ちにくい時期があることは、育成の計画を考える材料です。

管理職に育てる側の課題は、上司の育成力と時間

育てる側の事情は、東京商工会議所の調査に表れています。同所は2026年1月、研修講座を利用した企業の担当者を調査し、322名から回答を得ました(「人材育成担当者の新入社員・若手社員・中堅社員に対する意識調査」、2026年2月公表、回答率9.8%)。この調査は、社会人経験5〜10年の社員を中堅社員としています。

中堅社員を管理職へ育てるうえでの課題(複数回答)で最も多かったのは、「上長の育成力・指導意欲が不足している」の40.4%です。「業務繁忙等により、管理職育成に掛けられる時間が不足している」が34.2%で続きました。管理職になるにあたって身につけてほしいスキル・知識(最大3つまで回答)では、「後輩・チームメンバーの指導・育成力」と「業務管理・進捗管理能力」がともに52.2%で最多でした。

中堅社員に期待されているのは、人を育てる力と、仕事の進み具合を管理する力です。どちらも考え方は研修で学べますが、使えるようになるには、後輩や仕事の進行を実際に任される場面が要ります。ところが、その場面を用意して見届ける上司の側では、育成力と時間の不足が課題に挙がっています。

「任せていれば育つ」「計画を立てる時間がない」への答え

仕事を任せることと、育成として任せることは違う

中堅社員は一人で仕事を進められるため、任せておけば経験が積み上がるように見えます。けれども、同じ種類の仕事を任せ続けても、仕事の領域は広がりません。育成として任せるときは、いまの担当より一段広い仕事を選び、そこで何を身につけてほしいかを本人に伝えます。そのうえで、途中と終わりに振り返ります。教育担当者・対象者・期間・内容を定めるという計画的なOJTの条件は、中堅社員にもそのまま当てはまります。

計画は一人につき一枚で足りる

新入社員のような細かい指導計画は要りません。書くのは、半年から1年の間に新しく任せる仕事と、その仕事で伸ばしたい力です。見届ける人と振り返りの時期も書き添えます。これだけなら一枚に収まります。上司の時間が足りない職場では、期初の目標設定の面談でこの計画を話し合うと、会議を新しく増やさずに済みます。

研修で学んだことを使う場面を、職場に先に用意する

中堅社員の育成を立て直す起点は、研修の前後を職場の仕事とつなぐことです。人事と上司が分担して、次のように進めます。

期待する役割を、行動の言葉で伝える

「中堅らしく」「リーダーシップを発揮して」という伝え方では、本人は何をすればよいかが分かりません。「新人1名の指導担当として、3か月後に一人で顧客対応ができる状態にする」「チームの週次の進捗確認を主導する」のように、行動と範囲で伝えます。東京商工会議所の調査で上位に挙がった後輩の指導・育成と業務の進捗管理は、役割を言葉にするときの手がかりです。

研修の前に課題を決め、研修の後に使う仕事を割り当てる

中堅社員研修の受講が決まったら、受講の前に上司と本人が話し合い、職場で解決したい課題を一つ決めます。研修の後は、学んだことを使う仕事を割り当て、1か月後と3か月後に進み具合を確かめます。研修の報告書を受け取って終わりにせず、任せた仕事の結果をもとに振り返ります。

将来の役割を、期間を区切って先に経験させる

後輩の指導や会議の進行、他部署との調整など、職場リーダーや管理職が担う役割の一部を、期間を区切って任せます。リクルートマネジメントソリューションズの調査は、役割を先に経験することが管理職志向の高まりにつながる可能性を示しています。任せた後は、うまくいった点と次に試す点を、上司が言葉にして返します。

上司が育成に使う時間を、業務として確保する

上司の育成力と時間の不足は、個人の努力では埋まりません。部下の育成を管理職の目標と評価の項目に入れ、面談の時間を業務として認めます。管理職向けの研修で、仕事の任せ方と振り返りの進め方を扱うことも有効です。人事は、中堅社員ごとの計画があるか、振り返りをしたかを、半期に一度確かめます。

いま任せている仕事と、その仕事で伸ばしたい力を、上司が中堅社員の一人ひとりについて答えられるなら、計画は機能し始めています。

まとめ

中堅社員にも研修の機会は届いていますが、中堅社員に計画的なOJTを実施した事業所は38.7%にとどまります。仕事を一通り任せられるようになった後の数年間は、仕事の広がりを感じにくい時期です。育てる側では、上司の育成力と時間の不足が課題に挙がっています。任せる仕事と期間、見届ける人を決め、研修で学んだことを使う場面を職場に用意することが、中堅社員の育成の要です。まずは、自部署の中堅社員にこの半年で新しく任せた仕事があるかを、書き出してください。

中堅社員研修の設計や、研修と職場での実践をつなぐ仕組みづくりについては、WONDERFUL GROWTH にご相談ください。資料請求・お問い合わせはこちら

出典:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」調査結果の概要、用語の説明(2026年7月31日公表。2025年10月1日時点)/株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「若手・中堅社員の組織適応に関する現状把握調査(2025)」(2025年8月4日公表。2025年2月実施)/東京商工会議所「人材育成担当者の新入社員・若手社員・中堅社員に対する意識調査」(2026年2月26日公表。2026年1月実施)

Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
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