Research

転職者の賃金は40.8%が増加、50歳以上は減少が上回る

厚生労働省の令和7年雇用動向調査で、50歳以上の転職入職者は、賃金が前職より減った人が増えた人を上回っていました。賃金だけでなく年齢や性別ごとの事情を見て条件を組み立てることが、中途採用と定着の手がかりになります。

公開日
2026/10/07
更新日
2026/10/07
読了時間
約 7 分
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
中途採用報酬制度シニア人材離職理由

厚生労働省の令和7年雇用動向調査(2026年8月31日公表)によると、転職入職者の賃金は、前職より増えた人が40.8%、減った人が31.0%でした。ただし年齢別に見ると様子が変わり、50歳以上のどの年齢階級でも、減った人が増えた人を上回っています。賃金の水準だけで中途採用の条件を決めず、年齢ごとの事情を踏まえて組み立てることが、採用と定着の土台になります。

賃金が増えた転職者は40.8%、減った転職者は31.0%

雇用動向調査は、5人以上の常用労働者を雇用する事業所(全国の16大産業)を対象にした厚生労働省の統計です。令和7年の入職率は14.7%、離職率は13.7%で、入職者(7,526.8千人)が離職者(7,052.6千人)を474.2千人上回りました。

このうち「転職入職者」は、入職者のうち入職前1年間に就業経験のある人を指します。令和7年は5,061.8千人で、常用労働者数に対する転職入職者の割合(転職入職率)は9.9%と、前年より0.2ポイント上昇しました。

転職入職者の賃金は、前職の賃金と比べて「増加」が40.8%、「変わらない」が25.5%、「減少」が31.0%でした。1割以上増えた人は28.2%、1割以上減った人は21.9%です。増加から減少を引いた差は9.8ポイントで、全体では賃金が上がった人のほうが多い結果です。

図解01

賃金が増えた転職者は40.8%、減った転職者は31.0%

  • 増加40.8%
  • 変わらない25.5%
  • 減少31.0%

記号1つが10%(前職の賃金と比べた転職入職者の割合)

前職の賃金と比べて、増えた人が減った人を9.8ポイント上回っています。出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2026年8月31日公表。転職入職者の賃金変動状況)

賃金が増える人の割合は、若い層で高く50歳を境に下がる

転職入職者の賃金変動を年齢階級別に見ると、19歳以下では63.6%、20〜24歳では55.2%が「増加」で、若い層ほど賃金が上がった人の割合が高くなっています。25〜29歳は49.8%、30〜34歳は48.6%です。

45〜49歳の41.1%から50〜54歳の29.4%へ、増加の割合は大きく下がります。減少の割合は、50〜54歳で42.0%、55〜59歳で38.9%、60〜64歳で54.3%、65歳以上で42.3%に上り、これらの年齢階級では減少が増加を上回っています。

年齢階級

増加

変わらない

減少

19歳以下

63.6%

18.2%

15.4%

20〜24歳

55.2%

19.9%

17.5%

25〜29歳

49.8%

25.0%

23.9%

30〜34歳

48.6%

20.8%

29.0%

35〜39歳

43.5%

28.1%

23.9%

40〜44歳

44.9%

24.6%

27.4%

45〜49歳

41.1%

28.0%

30.1%

50〜54歳

29.4%

26.7%

42.0%

55〜59歳

25.5%

33.0%

38.9%

60〜64歳

21.1%

24.2%

54.3%

65歳以上

22.2%

33.4%

42.3%

30〜34歳では減少が29.0%と、前後の年齢階級(25〜29歳と35〜39歳はいずれも23.9%)より高めです。

前の職場を辞めた理由は、男女で上位が異なる

転職入職者が前職を辞めた理由では、「その他の個人的理由」(男性16.8%、女性23.8%)を除くと、男性は「定年・契約期間の満了」が16.1%で最も多く、「給料等収入が少なかった」が9.9%で続きます。女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.9%、「職場の人間関係が好ましくなかった」が11.5%です。

離職理由別の離職率では、個人的理由によるものが10.2%(前年より0.5ポイント低下)、事業所側の理由によるものが0.9%(同0.1ポイント上昇)でした。個人的理由の離職率は、女性が11.7%、男性が8.8%です。

収入が男性の上位に、労働時間や休日などの労働条件と人間関係が女性の上位に挙がっている点は、募集の段階で伝える条件と、入社後の働き方の両方を見直す手がかりになります。

転職した人の結果であり、残った人の姿は映らない

これらの数字は、転職入職者(入職前1年間に就業経験のある入職者)の結果です。転職しなかった人の賃金や、転職を考えながら動かなかった人の状況は含まれません。

年齢が上がるほど減少の割合が高くなる理由は、概況からは分かりません。職種や雇用形態、労働時間、役割の違いなどが関わっている可能性はありますが、確かめるには産業別や職種別の集計が要ります。賃金が増えたか減ったかだけでは、転職してよかったかどうかも判断できません。全国の傾向は、自社の採用や処遇を考えるときの外側の目安として読むのが妥当です。

採用の条件と退職理由を、年齢と性別で見直す

全体の平均だけで条件を決めると、年齢ごとの事情を取りこぼします。次のことを、自社の数字で点検するところから始められます。

  • 中途採用者の入社時の賃金を、前職との比較で振り返る。若い層は前職より賃金が上がる転職が多いため、提示額の根拠を説明できるかを確かめます。
  • 50歳以上を採用するときは、賃金だけで比べず、担う役割や働き方、労働時間を言葉にして伝える。前職より賃金が下がった人が多い年齢階級であり、条件の説明の丁寧さが入社後の納得感を左右すると考えられます。
  • 退職者の理由を、年齢と性別で分けて集計する。全国では男性は収入、女性は労働条件と人間関係が上位に挙がっており、自社の退職面談の記録に同じ傾向があるかを確かめます。

自社の記録が少ない場合は、退職面談の項目をそろえ、年齢と性別を記録に残すところから整えます。

まとめ

転職入職者の賃金は、増えた人が40.8%、減った人が31.0%で、全体では増えた人が9.8ポイント多い結果でした。一方、50歳以上では減少が増加を上回り、年齢によって転職の結果が異なることが分かります。前職を辞めた理由も男女で異なるため、全体の平均に合わせず、年齢と性別で自社の数字を点検することが、中途採用と定着の最初の一歩です。

出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2026年8月31日公表。2026年10月7日に確認)厚生労働省の公表ページ

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本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
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