Research

新卒の離職は1年目に集中する、という思い込み

大学を卒業して就職した人の3年以内離職率は33.8%で、年ごとの内訳は1年目12.1%、2年目11.9%、3年目9.9%でした。離職は1年目に集中せず、事業所の規模や産業でも大きく異なります。定着の取り組みは、入社3年目まで続けて見る視点が必要です。

公開日
2026/10/08
更新日
2026/10/08
読了時間
約 7 分
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
早期離職新卒採用若手育成離職防止

厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」によると、令和4年3月に大学を卒業して就職した449,012人のうち、就職後3年以内に離職した人は33.8%でした。年ごとの内訳は、1年目が12.1%、2年目が11.9%、3年目が9.9%で、離職は入社1年目だけに集中していません。新卒の定着は、1年目の受け入れで終えず、3年目までを続けて見ることが出発点になります。

離職は1年目の12.1%で終わらず、3年目の9.9%まで続く

この統計は、事業所が公共職業安定所(ハローワーク)に提出した雇用保険の加入届をもとに、新規学卒者と推定される就職者を算出し、その離職日から離職者数と離職率を求めたものです。令和4年3月卒の大学卒は、就職者が449,012人、就職後3年以内の離職者が151,911人で、離職率は33.8%でした。

年ごとに分けると、1年目が12.1%、2年目が11.9%、3年目が9.9%です。いちばん高いのは1年目ですが、2年目も1年目とほぼ同じ水準で、3年目も1割前後あります。「辞めるのは入社してすぐ」という見方では、2年目と3年目に起きる離職を取りこぼします。

同じ調査の令和3年3月卒では、大学卒の3年以内離職率は34.9%でした。大学卒の3年以内離職率は、平成30年3月卒以降、31.2%から34.9%の範囲で推移しています。

図解01

離職は1年目の12.1%で終わらず、3年目の9.9%まで続く

入社時大学卒の就職者(令和4年3月卒)449,012人

3年目まで就職後3年以内の離職率33.8%

  1. 入社時大学卒の就職者(令和4年3月卒) 449,012人
  2. 11年目離職率は12.1%
  3. 22年目離職率は11.9%
  4. 33年目離職率は9.9%
  5. 3年目まで就職後3年以内の離職率 33.8%
離職は入社後の3年間にわたって続き、3年以内の離職率は33.8%でした。出典:厚生労働省「新規学卒者の離職状況」(令和7年10月発表分。令和4年3月卒の大学卒就職者、令和7年6月時点)

5人未満の事業所は57.5%、1,000人以上は27.0%

就職後3年以内の離職率は、就職先の事業所の規模で大きく異なります。令和4年3月卒の大学卒では、5人未満の事業所が57.5%、5〜29人が52.0%、30〜99人が41.9%で、100〜499人は33.9%、500〜999人は31.5%、1,000人以上は27.0%でした。

事業所の規模

就職後1年以内

就職後3年以内

5人未満

30.2%

57.5%

5〜29人

24.0%

52.0%

30〜99人

16.0%

41.9%

100〜499人

11.8%

33.9%

500〜999人

10.2%

31.5%

1,000人以上

8.1%

27.0%

規模計

12.0%

33.8%

規模別の表では、1年以内の規模計が12.0%で、年ごとの内訳の12.1%とわずかに異なります。厚生労働省は、雇用保険の加入手続きを遡って行った事業所があることなどから、就職者数が集計の時点によって少し変わると注記しています。

規模が小さい事業所では、1年以内でも30.2%(5人未満)、24.0%(5〜29人)と高く、入社後の早い時期から離職が起きています。一方、100人以上の事業所では、1年以内は8.1%から11.8%の範囲で、2年目以降の離職が3年以内の離職率を押し上げています。自社の規模に近い区分の値を、外側の目安として読んでください。

業種では、宿泊業・飲食サービス業が55.4%で最も高い

産業別に見ると、離職率の差はさらに大きくなります。令和4年3月卒の大学卒で、就職後3年以内の離職率が高かった産業と低かった産業は次のとおりです。

産業

就職後3年以内の離職率

宿泊業、飲食サービス業

55.4%

生活関連サービス業、娯楽業

54.7%

教育、学習支援業

44.2%

医療、福祉

40.8%

小売業

40.4%

情報通信業

27.2%

金融業、保険業

25.0%

製造業

21.2%

電気・ガス・熱供給・水道業

12.4%

調査産業計

33.8%

宿泊業・飲食サービス業と生活関連サービス業・娯楽業は、就職者の半数以上が3年以内に離職しています。就職者数がもっとも多い医療・福祉(70,678人)でも、40.8%に上ります。業種によって、同じ「3年以内」でも置かれた状況が異なるため、全体の33.8%を自社の目標や基準にすると見誤ります。

離職の理由と行き先は、この集計から分からない

この統計は、雇用保険の加入と離職の日付から算出した離職率です。辞めた理由や、辞めた後の行き先は、集計の項目にありません。給与、人間関係、仕事の内容、配属のどれが離職につながったのかは、この数字からは分かりません。

令和5年3月卒と令和6年3月卒は、令和7年6月時点の途中経過です。令和5年3月卒は2年目までの21.8%、令和6年3月卒は1年目の10.1%までしか出ておらず、3年以内の離職率としては、まだ比べられません。

年ごとの内訳から読み取れるのは、離職が入社後の3年間にわたって起きているという点までです。2年目や3年目の離職に、入社後の関わりの薄さが影響しているのかどうかは、自社の退職面談や在籍者の声で確かめる必要があります。

入社3年目までを続けて点検する

1年目の離職を減らす取り組みは大切です。そのうえで、定着の状況を、入社3年目まで続けて点検する見方が欠かせません。

  • 自社の新卒の離職を、1年目、2年目、3年目に分けて集計する。1年目だけの数字では、2年目と3年目に起きている離職が見えません。
  • 入社時の研修や受け入れの期間が終わった後に、面談や育成の機会がどう続いているかを確かめる。1年目の終わりと2年目の初めに、振り返りの場があるかを見てください。
  • 自社の規模と業種に近い区分の離職率と比べる。全体の33.8%ではなく、規模別と産業別の値が外側の目安になります。

自社の記録が少ない場合は、新卒の入社年と退職年月を一覧にして、年ごとの離職の数をそろえるところから始められます。

まとめ

大学卒の就職後3年以内の離職率は33.8%で、1年目が12.1%、2年目が11.9%、3年目が9.9%と、離職は3年間にわたって続いていました。事業所の規模が小さいほど、また宿泊業・飲食サービス業などの産業ほど、離職率は高くなります。新卒の定着は、入社1年目の受け入れで完結させず、3年目までを続けて点検することが最初の一歩です。

出典:厚生労働省「新規学卒者の離職状況」(令和7年10月発表分。令和4年3月卒業者の就職後3年以内。令和7年6月時点。2026年10月8日に確認)厚生労働省の公表ページ

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Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
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