厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」によると、令和4年3月に大学を卒業して就職した449,012人のうち、就職後3年以内に離職した人は33.8%でした。年ごとの内訳は、1年目が12.1%、2年目が11.9%、3年目が9.9%で、離職は入社1年目だけに集中していません。新卒の定着は、1年目の受け入れで終えず、3年目までを続けて見ることが出発点になります。
離職は1年目の12.1%で終わらず、3年目の9.9%まで続く
この統計は、事業所が公共職業安定所(ハローワーク)に提出した雇用保険の加入届をもとに、新規学卒者と推定される就職者を算出し、その離職日から離職者数と離職率を求めたものです。令和4年3月卒の大学卒は、就職者が449,012人、就職後3年以内の離職者が151,911人で、離職率は33.8%でした。
年ごとに分けると、1年目が12.1%、2年目が11.9%、3年目が9.9%です。いちばん高いのは1年目ですが、2年目も1年目とほぼ同じ水準で、3年目も1割前後あります。「辞めるのは入社してすぐ」という見方では、2年目と3年目に起きる離職を取りこぼします。
同じ調査の令和3年3月卒では、大学卒の3年以内離職率は34.9%でした。大学卒の3年以内離職率は、平成30年3月卒以降、31.2%から34.9%の範囲で推移しています。
図解01
離職は
入社時大学卒の
3年目まで就職後3年以内の
- 入社時大学卒の就職者(令和4年3月卒) 449,012人
- 11年目離職率は
12.1% - 22年目離職率は
11.9% - 33年目離職率は
9.9% - 3年目まで就職後3年以内の離職率 33.8%
5人未満の事業所は57.5%、1,000人以上は27.0%
就職後3年以内の離職率は、就職先の事業所の規模で大きく異なります。令和4年3月卒の大学卒では、5人未満の事業所が57.5%、5〜29人が52.0%、30〜99人が41.9%で、100〜499人は33.9%、500〜999人は31.5%、1,000人以上は27.0%でした。
事業所の規模 | 就職後1年以内 | 就職後3年以内 |
|---|---|---|
5人未満 | 30.2% | 57.5% |
5〜29人 | 24.0% | 52.0% |
30〜99人 | 16.0% | 41.9% |
100〜499人 | 11.8% | 33.9% |
500〜999人 | 10.2% | 31.5% |
1,000人以上 | 8.1% | 27.0% |
規模計 | 12.0% | 33.8% |
規模別の表では、1年以内の規模計が12.0%で、年ごとの内訳の12.1%とわずかに異なります。厚生労働省は、雇用保険の加入手続きを遡って行った事業所があることなどから、就職者数が集計の時点によって少し変わると注記しています。
規模が小さい事業所では、1年以内でも30.2%(5人未満)、24.0%(5〜29人)と高く、入社後の早い時期から離職が起きています。一方、100人以上の事業所では、1年以内は8.1%から11.8%の範囲で、2年目以降の離職が3年以内の離職率を押し上げています。自社の規模に近い区分の値を、外側の目安として読んでください。
業種では、宿泊業・飲食サービス業が55.4%で最も高い
産業別に見ると、離職率の差はさらに大きくなります。令和4年3月卒の大学卒で、就職後3年以内の離職率が高かった産業と低かった産業は次のとおりです。
産業 | 就職後3年以内の離職率 |
|---|---|
宿泊業、飲食サービス業 | 55.4% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 54.7% |
教育、学習支援業 | 44.2% |
医療、福祉 | 40.8% |
小売業 | 40.4% |
情報通信業 | 27.2% |
金融業、保険業 | 25.0% |
製造業 | 21.2% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 12.4% |
調査産業計 | 33.8% |
宿泊業・飲食サービス業と生活関連サービス業・娯楽業は、就職者の半数以上が3年以内に離職しています。就職者数がもっとも多い医療・福祉(70,678人)でも、40.8%に上ります。業種によって、同じ「3年以内」でも置かれた状況が異なるため、全体の33.8%を自社の目標や基準にすると見誤ります。
離職の理由と行き先は、この集計から分からない
この統計は、雇用保険の加入と離職の日付から算出した離職率です。辞めた理由や、辞めた後の行き先は、集計の項目にありません。給与、人間関係、仕事の内容、配属のどれが離職につながったのかは、この数字からは分かりません。
令和5年3月卒と令和6年3月卒は、令和7年6月時点の途中経過です。令和5年3月卒は2年目までの21.8%、令和6年3月卒は1年目の10.1%までしか出ておらず、3年以内の離職率としては、まだ比べられません。
年ごとの内訳から読み取れるのは、離職が入社後の3年間にわたって起きているという点までです。2年目や3年目の離職に、入社後の関わりの薄さが影響しているのかどうかは、自社の退職面談や在籍者の声で確かめる必要があります。
入社3年目までを続けて点検する
1年目の離職を減らす取り組みは大切です。そのうえで、定着の状況を、入社3年目まで続けて点検する見方が欠かせません。
- 自社の新卒の離職を、1年目、2年目、3年目に分けて集計する。1年目だけの数字では、2年目と3年目に起きている離職が見えません。
- 入社時の研修や受け入れの期間が終わった後に、面談や育成の機会がどう続いているかを確かめる。1年目の終わりと2年目の初めに、振り返りの場があるかを見てください。
- 自社の規模と業種に近い区分の離職率と比べる。全体の33.8%ではなく、規模別と産業別の値が外側の目安になります。
自社の記録が少ない場合は、新卒の入社年と退職年月を一覧にして、年ごとの離職の数をそろえるところから始められます。
まとめ
大学卒の就職後3年以内の離職率は33.8%で、1年目が12.1%、2年目が11.9%、3年目が9.9%と、離職は3年間にわたって続いていました。事業所の規模が小さいほど、また宿泊業・飲食サービス業などの産業ほど、離職率は高くなります。新卒の定着は、入社1年目の受け入れで完結させず、3年目までを続けて点検することが最初の一歩です。
出典:厚生労働省「新規学卒者の離職状況」(令和7年10月発表分。令和4年3月卒業者の就職後3年以内。令和7年6月時点。2026年10月8日に確認)厚生労働省の公表ページ
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Editor’s Note
本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
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