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【2026年最新】ストレスチェック義務化が全事業場へ拡大|メンタル不調による休業・離職を防ぐ5つの実践ステップ

メンタル不調による休業・退職は、人材の定着と生産性に直結する経営課題です。2025年の法改正で、ストレスチェックは全事業場に義務化されます。最新の公的データと法改正の要点を押さえ、チェックを「形だけ」で終わらせず、不調を未然に防ぐ5つの実践ステップを解説します。

公開日
2026/06/24
更新日
2026/06/24
読了時間
9
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
メンタルヘルス対策ストレスチェックラインケア離職防止健康経営

「採用してもすぐに辞めてしまう」「これまで活躍していた社員が、ある日を境に休職に入った」。その背景に、見過ごされてきた心の不調が潜んでいることは少なくありません。メンタルヘルスの問題は、本人の苦しみであると同時に、休業や退職による戦力の損失、残された職場の負担増、そして採用のやり直しという形で、企業の経営にも重くのしかかります。

厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、現在の仕事や職業生活に関することで強い不安・悩み・ストレスを感じる労働者の割合は68.3%にのぼります。また、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上の休業をした、または退職をした労働者がいた事業所の割合は、12.8%を占めました。

そして2025年5月、この問題をめぐる制度の枠組みが大きく動きました。労働安全衛生法が改正され、これまで従業員50人未満の事業場では努力義務にとどまっていたストレスチェックが、すべての事業場で義務化されることが決まったのです。本記事では、最新の公的データと法改正の要点を押さえたうえで、ストレスチェックを「形だけ」で終わらせず、メンタル不調による休業・離職を防ぐための実践ステップを解説します。

なぜ今、メンタルヘルス対策が経営課題なのか

メンタルヘルス対策は「福利厚生の一環」や「労務管理の一部」と捉えられがちですが、その影響は人材の定着と生産性に直結します。前述の調査では、メンタル不調による休業者がいた事業所は10.2%、退職者がいた事業所は6.2%にのぼりました。一人の不調は、その人の離脱だけでなく、業務の引き継ぎや周囲の負担増を通じて、職場全体の生産性を静かに押し下げていきます。

とりわけ注目すべきは、企業規模による対策の差です。同じ調査では、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は全体で63.2%でしたが、規模別に見ると、労働者数50人以上では94.3%に達する一方、30〜49人では69.1%、10〜29人では55.3%にとどまります。つまり、人材の余力が小さく、一人の離脱が事業に与える打撃が大きい中小企業ほど、対策が後回しになっているのです。「人が辞めてから対策を考える」状態では、失った戦力も、流出した知識も、すぐには取り戻せません。

2025年の法改正——ストレスチェック義務化が全事業場へ拡大

2025年5月14日、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」が公布されました。改正の柱の一つが、ストレスチェック制度の対象拡大です。これまで従業員50人未満の事業場では努力義務とされていたストレスチェックの実施が、今後は規模にかかわらず、すべての事業場で義務となります。

施行時期は「公布後3年以内に政令で定める日」とされており、2028年春の施行が見込まれています(厚生労働省の審議会では、施行日を2028年4月1日とする方向が示されています)。準備期間があるとはいえ、産業医や実施者の確保、外部機関との連携、社内体制の整備には相応の時間がかかります。施行を待ってから動き出すのではなく、今から段階的に備えることが、現実的な対応です。

ストレスチェック制度の本来の目的は、労働者自身がストレスへの気づきを得ることに加え、検査結果を職場環境の改善につなげ、メンタル不調を未然に防ぐことにあります。「実施して終わり」ではなく、「結果をどう活かすか」が制度の核心です。

「形だけのストレスチェック」に陥る3つの落とし穴

すでにストレスチェックを実施している企業でも、その効果を十分に引き出せていないケースは珍しくありません。義務化を機に、まずは次の3つの落とし穴を確認しておきましょう。

第一に、「受検率」だけを追ってしまうことです。チェックを受けてもらうこと自体が目的になると、最も重要な「集団分析による職場環境の改善」が置き去りになります。実際、厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査」では、ストレスチェックを実施した事業所のうち結果の集団分析を行った割合は75.4%まで伸びた一方、その分析結果を実際に活用した事業所の割合は76.8%と、前年(78.0%)よりむしろ低下しました。測っても、活かしきれていないのです。

第二に、高ストレスと判定された人への対応が機能しないことです。高ストレス者には医師による面接指導の機会が用意されていますが、「申し出ると評価に響くのではないか」という不安から、本人が申し出をためらう例が後を絶ちません。申し出を待つだけの受け身の運用では、最も支援を必要とする人に手が届かないおそれがあります。

第三に、現場の管理職が関与せず、人事任せになることです。日々部下と接し、その変化に最初に気づける立場にいるのは管理職です。ストレスチェックを人事部門だけの業務と位置づけてしまうと、早期発見と日常的な配慮という、最も効果の大きい対策が抜け落ちてしまいます。

メンタル不調を防ぎ、人材の定着につなげる5つの実践ステップ

ここからは、ストレスチェックを起点に、メンタル不調を未然に防ぐ仕組みをつくる5つのステップを紹介します。各ステップの末尾に「実施チェック」を添えましたので、自社の現状を点検しながら読み進めてください。

ステップ1:経営層が方針を示し、推進体制を決める

メンタルヘルス対策は、現場の善意や担当者個人の頑張りだけでは続きません。まず経営層が「従業員の健康を守ることは経営の責任である」という方針を明確に示し、社内に表明することが出発点です。そのうえで、人事・産業保健スタッフ・現場の管理職それぞれの役割分担を決め、対策を「個人の業務」から「組織の仕組み」へと引き上げます。

  • 経営層がメンタルヘルスに関する方針を文書化し、全社に共有しているか
  • 推進の責任者と、人事・産業医・現場の役割分担が明確になっているか
  • 産業医や外部の実施機関など、相談・実施の体制を確保できているか

ステップ2:ストレスチェックを「集団分析と職場改善」までつなげる

ストレスチェックの価値は、個人の結果を超えて、部署や職種ごとの傾向を可視化する「集団分析」にあります。どの部署で負担が高まっているのか、どのような要因がストレスを生んでいるのかをデータで把握し、業務量の調整や役割の見直しといった具体的な改善に結びつけます。測定はゴールではなく、改善の出発点です。

  • ストレスチェックの結果を、部署・職種単位で集団分析しているか
  • 分析結果をもとに、改善すべき職場や課題を特定しているか
  • 改善策を実行し、その効果を翌年の結果で確認する流れがあるか

ステップ3:管理職の「ラインケア」力を高める

厚生労働省の指針「労働者の心の健康の保持増進のための指針」は、メンタルヘルスケアを「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の4つの観点で進めることを求めています。なかでも要となるのが、管理職が担う「ラインによるケア」です。部下の不調のサインに早く気づき、声をかけ、必要な支援につなぐ。この役割を管理職が果たせるよう、研修を通じて知識と関わり方を身につけてもらうことが欠かせません。

  • 管理職向けに、ラインケアを学ぶ研修の機会を設けているか
  • 不調のサイン(遅刻・欠勤の増加、表情や言動の変化など)を管理職が理解しているか
  • 部下から相談を受けた際の、傾聴の姿勢と専門窓口へのつなぎ方を共有しているか

ステップ4:早期に気づき、相談につなぐ導線を整える

不調は、本人が「つらい」と言い出す前に、勤怠や仕事ぶりの小さな変化として表れます。これを見逃さず、安心して相談できる窓口へとつなぐ導線を、あらかじめ整えておくことが重要です。前述の調査では、ストレスについて相談できる人がいる労働者は94.6%にのぼり、相談相手として「上司」を挙げる人も65.7%に達しました。日ごろの職場の人間関係こそが、早期発見の最前線になります。

  • 社内外に相談窓口を設け、その存在と利用方法を従業員に周知しているか
  • 相談内容の秘密が守られ、相談が不利益につながらないことを明示しているか
  • 高ストレス者への医師による面接指導を、申し出やすい形で案内しているか

ステップ5:休職・復職支援と再発防止の仕組みを用意する

どれだけ予防に努めても、休業が必要になる場合はあります。そのとき、復帰の道筋があいまいだと、本人の不安が長引き、再発や退職につながりやすくなります。休職から復職までの流れをルールとして定め、段階的な職場復帰と、復帰後のフォローまでを含めて支援することが、結果として人材の定着を支えます。

  • 休職・復職に関する社内ルール(手続き・期間・連絡方法)を整備しているか
  • 主治医や産業医と連携し、段階的な復職プログラムを用意しているか
  • 復職後の業務量や役割を調整し、一定期間フォローする仕組みがあるか

まとめ——「測る」から「変える」へ

ストレスチェックの全事業場への義務化は、企業にとって新たな負担に見えるかもしれません。しかし見方を変えれば、これは職場の状態を定期的に把握し、人材の離脱を未然に防ぐ仕組みを、制度として手に入れる機会でもあります。大切なのは、チェックを「測って終わり」にせず、集団分析と職場改善、そして管理職のラインケアへとつなげ、「測る」から「変える」へと一歩を踏み出すことです。施行を待つのではなく、自社の現状を本記事の実施チェックで点検することから始めてみてはいかがでしょうか。

WONDERFUL GROWTH では、管理職のラインケア力を高める研修をはじめ、メンタル不調を防ぎ、人材の定着につなげる仕組みづくりのご相談を承っています。自社に合った対策の進め方にご関心のある方は、以下より資料をご請求ください。

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出典・参考資料

  • 厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」
  • 厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」(2025年5月公布)
  • 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」
  • 労働政策研究・研修機構(JILPT)「ビジネス・レーバー・トレンド」2025年10月号

Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
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