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教育訓練費はOFF-JTに偏っている、自己啓発支援との配分を見直す

OFF-JTの費用は1人当たり2.0万円、自己啓発支援は0.4万円で、費用を出す企業の割合にも開きがあります。目的と対象者から決める順番で配分を考えると、見直す箇所が見えてきます。

公開日
2026/10/20
更新日
2026/10/20
読了時間
約 8 分
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
研修設計キャリア開発人事データ中小企業

厚生労働省が2026年7月31日に公表した令和7年度「能力開発基本調査」によると、教育訓練費用を支出した企業は54.4%でした。労働者1人当たりの平均額は、OFF-JTが2.0万円、自己啓発支援が0.4万円で、費用の出し方に開きがあります。研修と自己啓発支援への配分は、金額より先に、目的と対象者から順に決めると見直しやすくなります。

OFF-JTに費用を出す企業は50.1%、自己啓発支援は25.9%

OFF-JTは、通常の仕事を離れて受ける研修を指します。自己啓発支援は、労働者が自発的に学ぶ活動に対して、企業が費用や時間を支える取り組みです。企業調査では、費用を支出した企業の割合が次のように示されています。

区分

今回

前回

OFF-JTに費用を支出した企業

50.1%

49.4%

自己啓発支援に費用を支出した企業

25.9%

27.2%

OFF-JTか自己啓発支援のどちらかに費用を支出した企業は54.4%です。OFF-JTには企業の半数が費用を出している一方、自己啓発支援に費用を出す企業は、4社に1社ほどです。

1人当たりの費用は、OFF-JTが2.0万円、自己啓発支援が0.4万円

労働者1人当たりの平均額は、OFF-JTが2.0万円で、前回の1.5万円から0.5万円増えました。自己啓発支援は0.4万円で、前回と同じ水準です。公表値が万円単位のため目安ですが、当社の計算では、OFF-JTの平均額は自己啓発支援のおよそ5倍に当たります。

この平均額には、読むときの条件があります。令和6年度の1年間に費用を支出した企業だけが対象で、費用を支出していない企業は含まれません。全企業の平均額ではないため、自社の1人当たりの費用と比べるときは、費用を支出した年度と、対象にした社員の範囲をそろえる必要があります。

費用に何を含めるかは、公表資料の概要の本文には書かれていません。自社の費用と並べるときは、厚生労働省が公表している用語の説明で確かめてください。

受講料の補助が74.7%で最多、就業時間の配慮は39.2%

自己啓発支援には、費用を出す形と、時間を支える形があります。事業所調査では、労働者の自己啓発を支援している事業所は81.9%でした。正社員への支援は81.4%で、前回の85.4%から4.0ポイント下がり、正社員以外への支援は63.9%です。支援の内容は、次のとおりです。

支援の内容

正社員

正社員以外

受講料などの金銭的援助

74.7%

57.6%

資格取得に対する報酬

40.5%

29.6%

就業時間の配慮

39.2%

37.8%

教育訓練機関、通信教育等に関する情報提供

36.7%

32.2%

社内の自主的な勉強会等に対する援助

36.5%

31.7%

人事考課での考慮

29.0%

18.4%

教育訓練休暇の付与

16.5%

13.5%

受講料の補助が最も多く、就業時間の配慮は、正社員の39.2%と正社員以外の37.8%の差が小さい項目です。時間の面の支援は、雇用形態を問わず届けやすい手段だと読み取れます。

ただし、事業所調査と企業調査は、調査の単位が違います。自己啓発支援を行う事業所が81.9%であることと、自己啓発支援に費用を支出した企業が25.9%であることは、同じ尺度では比べられません。二つの数字の差が何によるものかは、公表資料の概要からは読み取れません。

OFF-JTの実施率は小規模ほど低く、30〜49人で53.0%

正社員に対するOFF-JTの実施率は、事業所の規模で開きます。30〜49人は53.0%、50〜99人は65.5%、100〜299人は79.6%、300〜999人は85.2%、1,000人以上は85.4%です。

費用の支出割合を規模別に示した数字は、公表資料の概要の本文にありません。ここで言えるのは、規模が小さい事業所ほどOFF-JTの実施率が低いという点までです。費用の面でも同じ傾向かどうかは、この概要からは確かめられません。調査の対象は常用労働者30人以上の企業と事業所のため、30人未満の姿も含まれていません。

金額の大小から、効果の大小は読み取れない

費用が多い企業ほど成果が出ている、とは言えません。公表された概要には、費用の水準と成果の関係を示す数字が含まれていないためです。1人当たり2.0万円という平均額は、配分を考えるときの材料のひとつにとどまります。

人材育成の問題点として「育成を行うための金銭的余裕がない」を挙げた事業所は14.3%でした。「指導する人材が不足している」は59.5%、「人材育成を行う時間がない」は45.5%です。金額より、教える人と時間の不足を挙げる割合のほうが高くなっています。

配分は、目的、対象者、学ぶ時間の順に決める

当社の見方では、配分は金額の大小より先に、次の順で決めると整理しやすくなります。

  1. 会社として全員にそろえたい知識や技能は、OFF-JTに向きます。階層別や職能別の研修のように、内容と時期を会社が決められるためです。
  2. 個人のキャリアや資格のように、学ぶ内容が人によって違うものは、自己啓発支援に向きます。受講料の補助や就業時間の配慮は、内容を会社が一つに決めなくても使えます。
  3. 対象者が正社員に偏っていないかを確かめます。正社員以外について、過去3年間に費用の実績がない企業は、OFF-JTで72.2%、自己啓発支援で83.7%でした。
  4. 費用を出すだけで終わらせず、学ぶ時間の確保を同時に決めます。就業時間の配慮を行う事業所は、正社員で39.2%にとどまります。

目的と対象者が決まらないまま金額を決めると、研修の費用は前年の実績どおりに引き継がれやすくなります。配分の見直しは、まず自社の費用をOFF-JTと自己啓発支援に分けて書き出し、それぞれの対象者と目的を横に並べるところから始められます。

どちらにも支出しない企業が45.5%、両方に支出する企業は21.5%

二つの費用の組み合わせを企業調査で見ると、どちらにも支出していない企業が45.5%で最も多く、OFF-JTのみが28.5%、両方が21.5%、自己啓発支援のみが4.4%です。

今後3年間の見込み(正社員)では、OFF-JTの費用を増やす予定の企業が34.3%、自己啓発支援の費用を増やす予定の企業が28.0%です。減らす予定は、それぞれ1.7%と0.5%にとどまります。一方、今後3年間は実施しない予定の企業は、OFF-JTで41.0%、自己啓発支援で58.9%でした。

自社がどこに当たるかを確かめたうえで配分を動かすときは、両方を同時に増やさず、対象と目的を決めた研修か補助のどちらかから始めるほうが、変化を確かめやすいと考えます。

図解01

どちらにも支出しない企業が45.5%、両方に支出する企業は21.5%

OFF-JTのみ

両方に支出

どちらにも支出していない

自己啓発支援のみ

OFF-JT

支出あり

支出なし

自己啓発支援

支出なし

支出あり

縦の軸:OFF-JT(下が支出なし、上が支出あり)横の軸:自己啓発支援(左が支出なし、右が支出あり)

  • OFF-JTのみ企業の28.5%
  • 両方に支出企業の21.5%
  • どちらにも支出していない企業の45.5%
  • 自己啓発支援のみ企業の4.4%
どちらにも支出していない企業が45.5%で最も多くなっています。出典:厚生労働省「令和7年度「能力開発基本調査」の結果を公表します」(2026年7月31日公表。企業調査7,452企業、有効回答率52.6%)

まとめ

教育訓練費を支出した企業は54.4%で、OFF-JTは50.1%、自己啓発支援は25.9%でした。1人当たりの平均額は、OFF-JTが2.0万円、自己啓発支援が0.4万円です。まず、自社の教育訓練費をOFF-JTと自己啓発支援に分けて金額と対象者を書き出し、目的に照らして配分を確かめてください。

出典:厚生労働省「令和7年度「能力開発基本調査」の結果を公表します」(2026年7月31日公表。2026年10月20日に確認)報道発表資料/同「令和7年度能力開発基本調査 調査結果の概要」(2026年7月31日公表。調査時点は2025年10月1日。企業調査の対象は7,452企業、有効回答率52.6%。2026年10月20日に確認)概要(PDF)/同「用語の説明」(2026年10月20日に確認)用語の説明(PDF)

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Editor’s Note

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