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はじめに
中期経営計画や人材戦略を検討する際に、現状の延長線上で施策を積み上げていく進め方に限界を感じたことはないでしょうか。人手不足や事業環境の急速な変化を前に、現状からの積み上げだけでは、実現したい未来に到達できない場合があります。こうした課題への対応として、経営戦略や組織開発の領域で広がっているのが「バックキャスト(バックキャスティング)」という考え方です。本記事では、その意味と人事・組織づくりの実務における活用の視点を整理します。
バックキャスト(バックキャスティング)とは?
バックキャスト(Backcasting)とは、実現したい未来の姿をまず描き、そこから現在に向かって逆算する形で、達成に必要な施策や行動計画を組み立てていく思考法・計画手法を指す言葉です。日本語では「バックキャスティング」とも呼ばれます。対義的な考え方である「フォアキャスティング」が、現状の実績やリソースを起点に、その延長線上で将来を見通す積み上げ型の発想であるのに対し、バックキャストは、ありたい未来の姿を先に定義し、そこに至る道筋を後から設計する点が特徴です。もともとは1990年代に環境・エネルギー分野の長期シナリオ研究で提唱された手法とされ、その後、企業のパーパス策定や中期経営計画、SDGsに関する目標設定など、幅広い経営領域で使われるようになりました。人事・組織開発の領域でも、目指す組織の姿や人材ポートフォリオを起点に、採用・育成・制度設計の方針を逆算して定める考え方として取り入れられています。国内の人事関連メディアや経営コンサルティング機関のコラムでも、パーパス策定や中期経営計画の立案手法として繰り返し取り上げられており、実務での認知は着実に広がっています。
よく使われるシーン
バックキャストという言葉は、次のような場面で使われます。経営層が中期経営計画やパーパスを策定する際に、現状分析だけでなく、実現したい将来像から逆算して重点戦略を定める場面。人事部門が将来の事業戦略に必要な人材要件を見据え、今からの採用計画や育成計画に落とし込む場面。組織開発のプロジェクトで、目指す組織文化やありたい働き方の姿を描き、そこに至る変革のステップを設計する場面。そして、研修やワークショップにおいて、参加者に将来のありたい姿を描かせたうえで、今日から取り組むべき行動を考えさせる場面です。
バックキャストを理解することの重要性
人事・経営企画の担当者がバックキャストを理解しておくことには、複数の意味があります。第一に、現状の制約にとらわれない計画を描けるためです。積み上げ型の発想だけでは、既存のリソースや前例の延長線上でしか施策を発想できず、事業環境が大きく変化する局面で対応が後手に回るおそれがあります。第二に、組織内の目線を将来のありたい姿に合わせる効果があるためです。経営層と現場が同じ将来像を共有したうえで逆算することで、施策の優先順位について共通の判断軸を持つことができます。第三に、人材戦略の一貫性を保つためです。将来必要となる人材像を先に定義することで、採用・育成・評価・配置といった個々の施策がばらばらに動くことを防ぎ、一貫した方向性を持たせやすくなります。
実務で活かすためのチェックポイント5項目
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
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