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グローバルモビリティとは?意味と業務範囲、推進のポイントを解説
はじめに
海外拠点の立ち上げや事業拡大に伴い、従業員を国境をまたいで異動させる機会は珍しくなくなりました。しかし、赴任者本人の生活基盤づくりから、ビザや税務といった専門的な手続きまで、対応すべき事柄は多岐にわたります。こうした国境を越えた人材の異動を戦略的に管理する考え方が「グローバルモビリティ」です。本記事では、その意味と実務上のポイントを解説します。
グローバルモビリティとは?
グローバルモビリティとは、異なる国や地域の間で従業員を異動・配置する取り組みを、戦略的かつ体系的に管理するプロセスを指す言葉です。日本企業では「海外赴任」や「海外転勤」と呼ばれてきた領域とほぼ重なりますが、グローバルモビリティという場合には、日本から海外への赴任だけでなく、海外拠点から日本への赴任者の受け入れも含めて捉える点に特徴があります。具体的な業務には、赴任者向けの給与設計や現地の所得税申告対応、ビザ・就労許可の取得支援、住居手配などの生活支援、赴任前後の異文化対応研修などが含まれます。グローバルに事業を展開する企業ほど、これらを個別対応ではなく一貫した制度・体制のもとで管理する必要性が高まります。
グローバルモビリティがよく使われるシーン
海外拠点の新設や事業拡大に伴い、どの人材をどのタイミングで派遣するかを検討する場面で使われます。赴任者本人やその家族から、赴任に伴う税務・社会保険・生活面での問い合わせを受け、専門部署が対応する場面でも用いられる考え方です。グローバル人事の体制構築を検討する際、採用や育成とは別の専門領域として、グローバルモビリティの担当を置くかどうかを議論する文脈でも登場します。また、赴任者数の増加に伴い、これまで属人的に対応してきた手続きを制度化・標準化する場面でも使われます。近年は、長期の転勤を伴わずに一定期間だけ海外拠点の業務を担う短期出張型の派遣や、オンラインでの越境勤務のあり方についても、グローバルモビリティの検討対象として扱われるようになっています。
グローバルモビリティを理解することの重要性
海外赴任者への対応を個別最適で進めてしまうと、税務や労務のコンプライアンス上のリスクが見落とされたり、赴任者ごとに待遇の差が生じて不公平感を招いたりするおそれがあります。グローバルモビリティという体系立った考え方を持つことで、赴任に伴う手続きやルールを標準化し、リスクを抑えながら一貫した支援を提供できるようになります。また、優秀な人材にとって、海外赴任の経験がキャリア形成の重要な機会となる一方、赴任先での生活や帰任後のキャリアパスへの不安から、海外赴任そのものを敬遠する動きも指摘されています。グローバルモビリティの体制を整えることは、こうした不安を軽減し、グローバルな人材活用を進めるうえでの基盤となります。事業のグローバル化が進むほど、拠点ごとに個別最適で対応してきた仕組みの限界も表面化しやすくなるため、早い段階から全社共通の方針を持っておくことが望まれます。