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IPE(国際ポジション評価制度)とは?グローバル共通の職務評価の仕組みを解説
はじめに
グローバル展開する企業の人事担当者から、「海外拠点と国内拠点で役職の重さをどう比較すればよいか分からない」という相談を受けることがあります。国や事業部によって組織階層の呼び方や等級の基準がばらばらだと、グローバルでの人材配置や報酬水準の比較が難しくなり、優秀な人材の登用機会を見誤ってしまうおそれもあります。こうした課題に対応するために用いられる代表的な職務評価の仕組みが、IPE(国際ポジション評価制度)です。本記事では、IPEの内容と実務での活用ポイントを解説します。
IPE(国際ポジション評価制度)とは?
IPE(International Position Evaluation)とは、コンサルティングファームのマーサーが提供する、職務や役割の大きさを共通の基準で数値化するグローバル職務評価の仕組みです。「インパクト(組織への影響度)」「コミュニケーション」「イノベーション」「知識」といった複数の評価要素・評価軸に沿って職務を分析し、最終的に「ポジションクラス」と呼ばれる指標に落とし込みます。このポジションクラスは、国や業界、職種が異なっていても共通の物差しとして比較できる点が特徴で、しばしば「ジョブサイズ」とも呼ばれます。国内で広く使われるヘイ・ガイドチャート法などの職務評価手法と目的は共通していますが、IPEはとりわけ多国籍企業におけるグローバル共通の等級体系構築や、報酬水準の国際比較を意識して設計されている点に特徴があります。
IPE(国際ポジション評価制度)がよく使われるシーン
IPEは、複数国に拠点を持つ企業がグローバル共通の等級制度を構築する際に用いられます。M&A後に買収先企業の役職と自社の役職を統合する場面や、海外赴任者の処遇を検討する際、拠点間の役職の重さを比較する目的でも使われます。また、経営層や幹部人材の報酬水準を国際的な市場データと比較するベンチマーク調査においても、IPEによるポジションクラスが共通言語として用いられます。
IPE(国際ポジション評価制度)を理解することの重要性
IPEを理解することは、グローバル人事制度の設計において共通言語を持つために重要です。国内基準だけで役職の重さを判断していると、海外拠点との人材交流や報酬比較の際に基準の違いが障壁となり、優秀な人材の適正な処遇や配置が難しくなるおそれがあります。一方で、IPEはあくまで職務や役割の大きさを測る仕組みであり、個人の業績や能力を評価するものではない点にも留意が必要です。等級制度全体を設計する際は、IPEによる職務評価の結果を土台としつつ、個人の評価制度や報酬制度と組み合わせて運用する視点が欠かせません。導入には一定の工数とコストがかかるため、自社の海外展開の規模や今後の方針を踏まえたうえで、優先度を見極めて検討することも重要な観点です。