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はじめに
「等級制度を運用しているが、職種ごとの専門性の違いをうまく評価に反映できていない」「エンジニアと営業職を同じ基準で評価しようとすると、どうしても無理が生じる」。人事担当者であれば、こうした悩みに直面した経験があるのではないでしょうか。年功序列から職務や役割を軸にした人事制度へ移行する企業が増えるなかで、職種ごとの特性を踏まえた等級運用の重要性が高まっています。専門性の異なる職種を無理に同じものさしで測ろうとすると、評価への納得感が下がり、優秀な専門人材の離職につながるおそれもあります。本記事では、そうした課題を解決する手がかりとなる「ジョブファミリー」という考え方について、基本的な知識から実務での活用方法までをわかりやすく解説します。
ジョブファミリーとは?
ジョブファミリーとは、職務内容や必要とされる専門知識・スキルの性質が近い職種をひとつのまとまりとして分類したグループのことです。たとえば「営業系」「エンジニアリング系」「管理部門系」「マーケティング系」といった単位で職務を束ね、それぞれの系統ごとに評価基準やキャリアの道筋を設計します。
似た言葉に「ジョブグレード(職務等級)」がありますが、両者は役割が異なります。ジョブグレードは職務の大きさや責任範囲に応じた「縦の階層」を表すのに対し、ジョブファミリーは専門性の違いによる「横の区分」を表す概念です。多くのジョブ型人事制度では、この横軸(ジョブファミリー)と縦軸(グレード)を組み合わせることで、職種の特性を尊重しながら公平な処遇を実現しようとしています。さらに、ジョブファミリーの中を専門分野ごとに細分化した「サブファミリー」を設ける企業もあり、組織の規模や事業内容に応じて柔軟に設計されています。
よく使われるシーン
ジョブファミリーという言葉は、主に次のような場面で使われます。
まず、等級制度や評価制度を設計・改定する場面です。専門性の異なる職種を単一の基準で評価すると不公平感が生じやすいため、ジョブファミリーごとに評価項目や昇格要件を個別に設定する企業が増えています。次に、キャリアパスを設計する場面です。同じジョブファミリー内でどのような役割を経験すればどの階層に到達できるかを示すことで、社員が自身の成長イメージを描きやすくなります。また、採用や人員配置の場面でも、どのファミリーの人材が不足しているかを可視化する目的で用いられます。報酬水準を職種別の市場相場と照らし合わせて設定する際の単位としても活用されており、人員計画や後継者育成計画を立てる際の分析単位として使われることもあります。
ジョブファミリーを理解することの重要性
ジョブファミリーの考え方を正しく理解し導入することには、複数の意義があります。第一に、職種特性に応じた公平な評価・処遇が可能になる点です。専門性の異なる職務を一律の基準で扱うことによる不満や離職リスクを抑えられます。第二に、社員自身が自分のキャリアの方向性を把握しやすくなる点です。どのファミリー内でどのように成長していけるかが明確になることで、エンゲージメントの向上にもつながります。第三に、人材ポートフォリオ全体を俯瞰しやすくなる点です。どの職種群に人材が偏在しているか、どこで採用や育成を強化すべきかを経営視点で把握しやすくなります。特にジョブ型人事制度への移行を検討している企業にとっては、避けて通れない基盤設計のひとつといえるでしょう。反対に、この区分があいまいなまま等級制度だけを整備すると、職種間の処遇格差の説明がつかなくなるといった問題も起こりやすくなります。
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
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