❖ HR Dictionary

属人給

Reading ゾクジンキュウEnglish Person-based Pay

属人給とは、従業員が担当する職務の内容ではなく、年齢、学歴、勤続年数、保有資格といった個人の属性を基準にして金額が決まる賃金の総称です。代表的なものに、年齢に応じて支給額が決まる年齢給や、勤続年数に応じて支給額が決まる勤続給があります。

⌖ Detail

属人給とは?職務給との違いと制度設計のポイントを解説

はじめに

同じ仕事をしているのに、勤続年数や年齢によって給与に差がつく仕組みを不思議に感じたことはないでしょうか。日本企業の賃金制度の多くは、こうした従業員個人の属性を基準にした部分を含んでおり、これは「属人給」と呼ばれています。本記事では、属人給の意味と、近年注目される職務給との違い、制度設計で押さえておきたい点を解説します。

属人給とは?

属人給とは、従業員が担当する職務の内容ではなく、年齢、学歴、勤続年数、保有資格といった個人の属性を基準にして金額が決まる賃金の総称です。代表的なものに、年齢に応じて支給額が決まる年齢給や、勤続年数に応じて支給額が決まる勤続給があります。

属人給は、仕事の内容に対して金額を定める職務給とは基準が根本的に異なります。属人給では、本人の年齢や勤続年数が上がれば給与も上がるという考え方が採られるのに対し、職務給では、担当する職務の価値や責任の重さに応じて金額が決まります。日本企業の賃金制度は歴史的に属人給の比重が大きく、年功的な賃金体系として広く定着してきました。

なお、属人給には年齢給や勤続給のほかに、保有する資格や免許に応じて支給される資格手当のような要素が含まれる場合もあります。これらはいずれも、従業員が担当している具体的な業務内容とは切り離された基準で金額が決まる点で共通しています。基本給の全体を眺めたとき、こうした属人的な要素と、後述する職務給や役割給に相当する要素がどのような比率で組み合わさっているかを把握することが、賃金制度の性格を理解する出発点になります。

属人給がよく使われるシーン

属人給という言葉は、自社の賃金制度がどのような考え方で組み立てられているかを整理する場面でよく使われます。既存の給与テーブルを見直す際、基本給のうち属人的な要素がどの程度を占めているかを分析し、職務給や役割給への移行を検討する材料とすることがあります。

また、賃金制度の歴史や日本型雇用の特徴を説明する文脈でも用いられる用語です。中途採用者と新卒採用者の給与水準の違いを説明する際や、若手社員から成果に見合った処遇を求める声が上がった場面で、現行制度における属人給の位置づけを説明するために使われることもあります。同業他社との賃金水準の比較や、人事コンサルタントによる制度診断の報告書でも、属人給と職務給の比率を示す指標として登場します。

属人給を理解することの重要性

属人給を理解しておくことは、自社の賃金制度が抱える課題を正しく把握するうえで重要です。属人給の比重が大きい制度では、勤続年数の長い社員の人件費が高止まりしやすく、若手社員が成果を上げても処遇に反映されにくいという課題が生じやすくなります。

一方で、属人給には長期的な勤続を促し、経験の蓄積を評価するという利点もあります。特に、専門性の習得に時間がかかる職種や、社内でのノウハウの継承が重視される組織では、勤続年数を処遇に反映させることが人材の定着につながる場合もあります。属人給を一律に否定するのではなく、自社の事業特性や人材戦略に照らして、職務給や役割給とどのような比率で組み合わせるべきかを検討することが、実効性のある賃金制度の設計につながります。

実務で活かすためのチェックポイント

  1. 現行の基本給の構成要素を分解する:年齢給や勤続給など、属人給に該当する部分がどの程度あるかを確認します。
  2. 職務給・役割給との比率を検討する:自社の事業特性に合わせて、属人的な要素と職務的な要素の望ましい比率を検討します。
  3. 年功的な運用になっていないか点検する:属人給の比重が過度に大きく、成果や職務価値が処遇に反映されにくくなっていないかを確認します。
  4. 移行時の激変緩和策を用意する:制度を見直す場合、既存社員の給与が急激に下がらないよう、経過措置を設けます。
  5. 社員への説明を丁寧に行う:賃金制度の考え方を変更する際は、目的と内容を社員にわかりやすく説明します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 属人給とはどのような賃金ですか。

A. 年齢、学歴、勤続年数といった従業員個人の属性を基準にして金額が決まる賃金です。

Q2. 属人給の代表的な種類には何がありますか。

A. 年齢に応じて金額が決まる年齢給と、勤続年数に応じて金額が決まる勤続給が代表的です。

Q3. 職務給とは何が違いますか。

A. 属人給は個人の属性を基準にするのに対し、職務給は担当する職務の内容や責任の重さを基準にする点が異なります。

Q4. 属人給には問題点があるのですか。

A. 勤続年数の長い社員の人件費が高止まりしやすく、成果が処遇に反映されにくくなる場合があるとされています。

Q5. 属人給をなくすべきなのでしょうか。

A. 長期勤続を促す利点もあるため、自社の人材戦略に応じて職務給や役割給と適切な比率で組み合わせることが重要です。

自社の人材育成・組織課題に関するご相談

自社の賃金制度における属人給の比重や、職務給・役割給への移行に課題を感じている場合、現状分析から制度設計まで、貴社の状況に合わせてご一緒に検討いたします。ご相談は下記よりお気軽にお問い合わせください。

https://wonderful-growth.com/contact

関連情報

  • カテゴリ:報酬・労務
  • スラッグ:person_based_pay
  • 想定URL:https://wonderful-growth.com/swk/hr_words/person_based_pay
  • 関連用語:職務給、職能給、役割給

✺ Editor’s Memo

現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。

— SHARE with カイシャの育成論 編集部

✦ Subscribe

毎週金曜、編集部から
新着インタビューを配信。

登録(無料)

⌖ Related Words

あの用語との関係