⌖ Detail
自己調整学習とは?自ら学び続ける人材を育てる考え方を解説
はじめに
研修を用意しても、その場限りで学びが定着せず、現場に戻ると元のやり方に戻ってしまう。そうした課題を抱える人材育成担当者は少なくありません。変化の激しい環境で活躍し続ける人材を育てるには、会社が与える研修だけでなく、従業員自身が目標を立てて学び方を調整しながら成長していく力が欠かせません。本記事では、この力を説明する自己調整学習という概念と、人材育成への活かし方を解説します。
自己調整学習とは?
自己調整学習とは、学習者自身が目標を設定し、自分の理解度や進捗を確認しながら、学び方そのものを調整して学習を進めていく学習のあり方のことです。教育心理学者のバリー・ジマーマンらが1980年代後半に体系化した理論です。学習の前に目標を立てて計画を練る「予見の段階」、学習を実行しながら自分の理解度や集中度を観察する「遂行の段階」、終了後に結果を振り返り次の学習に活かす「自己省察の段階」という循環を通じて、学習者が自分の認知や行動、動機づけを主体的にコントロールしていく点に特徴があります。
もともとは学校教育の分野で研究が積み重ねられてきた理論ですが、変化の激しい事業環境のもとで、研修という与えられた学びだけに頼らず、従業員自身が学び続ける力を養う必要性が高まっており、企業の人材育成においても応用される場面が増えています。
よく使われるシーン
研修の設計において、知識を一方的に伝えるだけでなく、受講者自身に学習目標を立てさせ、振り返りの時間を設ける場面で使われます。リスキリングや自己啓発支援の制度を整える際、従業員が自律的に学習計画を立てられるよう支援する場面でも用いられます。1on1ミーティングで、上司が部下の学習の進め方そのものを一緒に振り返る場面や、eラーニングの設計において進捗確認と振り返りの機能を組み込む場面でも登場する言葉です。
自己調整学習を理解することの重要性
自己調整学習の考え方を理解しておくと、人材育成の焦点を、研修の内容そのものだけでなく、学習者がどのように学びを計画し振り返っているかという学び方の質にも向けられるようになります。学びを従業員任せにするのではなく、目標設定や振り返りの機会を意図的に設計することで、研修の効果を現場での実践につなげやすくなる点も実務上の意義です。変化の速い環境の中で、会社が用意する研修だけでは対応しきれない学びを、従業員自身が補っていく土台としても位置づけられます。リスキリングのように従業員に新しい学習を求める場面が増えるほど、与えられた教材をこなす力以上に、自らの学び方を管理する力の重要性が増していきます。
実務で活かすためのチェックポイント
研修の冒頭で、受講者自身に学習目標を言語化してもらう時間を設けているかを確認します。
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
— SHARE with カイシャの育成論 編集部