⌖ Detail
社会保険料とは?種類と負担割合、人事労務担当者が押さえるべきポイントを解説
はじめに
毎月の給与明細を見た従業員から「なぜこんなに天引きされているのか」と尋ねられ、うまく説明できずに困った経験はないでしょうか。給与から控除される項目の中でも大きな割合を占めるのが社会保険料です。人事労務の担当者にとって、この仕組みを正確に理解し、従業員にわかりやすく説明できることは欠かせない基礎知識です。本記事では、社会保険料の種類と負担割合、実務上の注意点について解説します。
社会保険料とは?
社会保険料とは、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険という5つの社会保険にかかる保険料の総称です。このうち健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料は、毎月の給与を基に決定される標準報酬月額に、それぞれの保険料率を乗じて算出され、原則として会社と従業員が折半で負担します。雇用保険料も労使双方が負担しますが、負担割合は折半ではなく、事業の種類ごとに定められた料率に基づいて按分されます。一方、労災保険料は業務上の災害に備える保険であるため、全額を会社が負担する点が他の保険料と異なります。介護保険料は40歳以上65歳未満の従業員から徴収される点も、実務上見落としやすいポイントです。
広告
社会保険料がよく使われるシーン
社会保険料は、毎月の給与計算や賞与計算の場面で必ず登場する言葉です。入社時に従業員へ給与の内訳を説明する場面や、算定基礎届・月額変更届を通じて標準報酬月額を見直す場面、年に一度の社会保険料率の改定を就業規則や給与システムに反映する場面などで頻繁に用いられます。また、従業員から保険料負担の仕組みについて質問を受けた際に、健康保険組合や年金事務所への手続きとあわせて説明する機会も多くあります。退職や転職に伴う社会保険の資格喪失・取得手続き、産前産後休業や育児休業中の保険料免除の手続きなど、ライフイベントに応じた対応が必要になる場面も少なくありません。
社会保険料を理解することの重要性
社会保険料を理解することは、正確な給与計算と従業員からの信頼獲得の両面で重要です。控除額の根拠を説明できなければ、従業員に不信感を与えかねません。また、標準報酬月額の決定や改定を誤ると、将来の年金額や傷病手当金などの給付額にも影響が及ぶため、正確な事務処理が強く求められます。加えて、保険料率は毎年見直される可能性があるため、最新の料率を把握し続ける姿勢も欠かせません。人手不足が続く中で、こうした基礎的な制度への理解が浅いままでは、労務トラブルの火種にもなりかねないという点も意識しておきたいところです。なお、健康保険料率は加入する健康保険組合や協会けんぽの都道府県支部によって異なり、雇用保険料率も一般の事業・農林水産清酒製造業・建設業といった事業の種類によって異なる点に注意が必要です。また、2024年10月からは短時間労働者に対する社会保険の適用がさらに拡大されており、いわゆる106万円の壁など、パートやアルバイトとして働く従業員の働き方にも影響する制度改正の動向をあわせて注視することが求められます。特に、標準報酬月額の等級区分をまたぐ給与変動があった際の届出漏れは誤りが起きやすいため、日頃から給与システム上でチェックできる体制を整えておくと安心です。