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定期昇給とは?ベースアップとの違いと制度設計のポイントを解説
はじめに
春の労使交渉の時期になると、ニュースで「賃上げ」という言葉が頻繁に取り上げられます。その中でよく登場するのが「定期昇給」という言葉ですが、ベースアップとの違いを従業員に正しく説明できるでしょうか。両者を混同したまま制度を運用すると、賃金改定の趣旨が従業員に正しく伝わらず、納得感を損なうおそれがあります。本記事では、定期昇給の意味とベースアップとの違い、制度設計のポイントについて解説します。
定期昇給とは?
定期昇給とは、会社があらかじめ定めたタイミングで、年齢や勤続年数、評価などに応じて従業員一人ひとりの賃金を見直す制度です。多くの企業では年1回、4月に実施されるケースが一般的ですが、4月と10月の年2回に分けて実施する企業もあります。定期昇給の特徴は、企業全体の賃金水準を一律に引き上げるものではなく、個々の従業員の年齢や勤続年数の積み重ね、あるいは評価結果に応じて賃金を見直す点にあります。これに対してベースアップは、賃金の基準となる賃金テーブル自体を底上げする施策であり、対象となる従業員全体に一定の金額や割合で反映される点が定期昇給と異なります。両者は毎年の春季労使交渉、いわゆる春闘の場で合わせて議論されることが多く、混同されがちですが、性質の異なる賃金改定であることを押さえておく必要があります。
定期昇給がよく使われるシーン
定期昇給は、毎年の賃金改定を検討する人事部門の会議や、労働組合との春季労使交渉の場面で頻繁に用いられる言葉です。新卒採用の説明会で、入社後の給与の伸びを説明する際にも取り上げられますし、中途採用の候補者から待遇面の質問を受けた際、自社の昇給制度の特徴を伝える場面でも登場します。また、就業規則や賃金規程に定期昇給の実施時期や基準を明記する際にも使われる言葉です。
定期昇給を理解することの重要性
定期昇給を理解することは、賃金制度への納得感を従業員に持ってもらうために重要です。定期昇給とベースアップの違いを曖昧にしたまま説明すると、賃上げの実態が従業員に正しく伝わらず、期待とのずれから不満につながりかねません。また、年齢や勤続年数に応じた定期昇給を重視しすぎると、若手の実力や成果が賃金に反映されにくくなるという課題も指摘されています。近年は成果や評価を昇給額に強く反映させる企業も増えており、自社がどのような考え方で定期昇給を設計しているかを人事担当者自身が説明できる状態にしておくことが求められます。なお、定期昇給を制度として設けている企業であっても、業績が著しく悪化した場合には昇給を見送る、あるいは縮小するといった対応を取ることがあり、定期昇給が毎年必ず一定額の賃金上昇を保証するものではない点にも留意が必要です。就業規則や賃金規程に定期昇給の実施基準を定める際には、こうした業績連動の可能性もあわせて明記しておくことが望まれます。