株式会社オムニバス様の育成論カイシャの育成論について————最初に、人材育成の取り組みや、考え方について教えてください。まず取り組みの部分ですが、新卒社員に関しては、社会人の基礎を学ぶビジネスマナー研修を外部の方に依頼して一週間ほど実施します。その後、宮崎支社に1-2ヶ月ほど実務である広告運用のオペレーションを学びに行きます。その後に関しては本社に戻り本配属となりますので、OJTで所属チームの上長や実務を通して、より深い部分まで学んでいってもらう形になりますね。考え方の部分ですが、スピード感を持って自己成長に繋げていって欲しいと考えているので、ベースは「自走」「自家発電」というところを重要視しています。周りからああせいこうせい言われてやる、というよりは、自主学習のサイクルを自分のPDCAで回していって欲しいなと思っていますね。————入社後宮崎に行けるというのはとても貴重な1-2ヶ月間になりますね。またHPに記載されている会社のValueの部分を読んでも、自己成長していって欲しいという岩井社長の考えが読み取れる気がします。そうですね。今のVision/Valueは、3年前にリニューアルされました。これはボードメンバーがトップダウンで作ったものではなく、若手の主要メンバー4-5人が、会社を支える次世代の人間が自分たちの中で何をしていくべきなのか、という議論を深めてくれた上でアウトプットされて出来上がったものです。当然、オムニバスのメンバーである以上成し遂げなければいけないこと、という気持ちが含まれておりますので、必然的に人材育成としても達成すべきこと、という意味にもなるかなと思います。————「自らチームを勝利へ導こう」というリーダーシップについての言及もありますね。岩井様の中で、会社としてやってみたい、実現してみたい、といったことはありますか?今後については、オムニバスの仕事を通してキャリアアップに繋がっていく、という環境作りをしていきたいと思っています。今は広告代理店というメインの事業の中で、広告商品をセールスしていくことと、広告運用のオペレーションをしていくという大きく2つの業務がありますが、これだけをずっとやっていてもそれ以外のスキルが身に付かないという感覚は絶対にあるはずですし、実際にそのような声も上がってきています。4-5年くらいやっていると、自分自身の成長スピードや業務の幅が広がっていかないように感じるという声ですね。そこの環境作りに、代表としては取り組んでいくべきだと考えています。事業領域を広げて、複数の業務に携わるコンディションを整えることを見据えていますね。————そのように社員の声が届いているのはすごいことだと思います。それは岩井さんがキャッチアップしに行かれているのですか?いえいえ、実はお恥ずかしい限りなのですが、このような情報が上がってくる時というのは退職するタイミングが多いです。なので社員みんなの定着率を上げるためにも、やり遂げなければいけないことですね。この会社に入って良かったと思ってもらえる環境整備をするというのも当然経営者の仕事ですが、まだまだ出来ていませんし、やるべきことはたくさんあります。岩井様のご経験について————なるほど。経営者の生の声を発信していただけていることがとても魅力的です。現場が育たないということはOJTのメンバーの意識が低いと考えられなくはないと思うのですが、経営目線で改善していくことの重要性はどのようにお考えでしょうか?マネージャー陣が育成の観点を持っていないとは全く感じていません。ただおそらく実務よりの教育になっている面はあるかもしれません。やはり、お客様のご要望やニーズにお応えすることが一番大切ですからね。目の前にある仕事をどう進めていくかということに関しては、十分過ぎると言っても良いほど手厚くサポートしてくれています。けれども一人一人の部下たちがどうなっていきたいのかという先々のキャリアそのものに対する支援にはなかなか手が回らないというのが実状ではないかと思います。それについては幅を広げて欲しいとは思いますが、ということは私自身、マネージャー陣に対しても同様のことが出来ていなければなりません。昨今パーパス経営などよく聞くようになりましたが、自分の仕事の意義がどこにあって、それを通じて何を成し遂げるのか、といった仕事に対する意味付けが重要になってきたと肌身に感じるようになってきました。————育成や社員が喜ぶ環境を作っていくということを大事にされるようになったのは、何か過去のご経験があってのことなのでしょうか?原体験としては、まずは父親の影響があるかなと思います。父親は会社員だったのですが時代が時代でしたから、一社に50年間勤め上げた仕事人間で、平日は私が寝た後に帰ってきて顔を合わすこともなかったです。私が小学生くらいの頃、自宅に父の会社の人が来ることがあったのですが、家の中でタバコを吹かしながら麻雀が始まったりすることもあって当時はすごく嫌でしたし、漠然ともっと自分とも遊んで欲しいと思っていました。そんな父だったのですが、ある時「俺の家族はお前たちだけではない。会社の仲間たちも俺にとっては家族だ。」なんてことを言った時がありました。当時は全くその意味はわかりませんでしたが、ようやくその感覚がわかるようになった気がします。今は家族経営をするような時代ではなくなりましたが、オムニバスで一緒に時間を共にしているメンバーとはまさに家族のような感覚になっていますし、失礼な話かも知れませんが可愛い子供のような感覚なんですね。親は当然、子供には健全に育ってほしい、成長して欲しい、と思うものですので、原体験としては父の言葉の影響がある気がします。もう一つあるのは、前職の会社での経験です。5年弱勤めていたのですが、営業がかなり強い組織で、仕事のやり方は随分と仕組み化されている環境でした。その風土の中で、実力が伴っていない私は自分なりの考えで仕事を進めてもなかなか認めてもらえませんでした。特に、目立った結果を残せていない最初の2年間はかなり追い込まれていましたね(笑)。今となっては実力をつける上では良い経験だったなと思えていますが、当時は毎日の仕事が辛いなと感じていましたし、内発的に引き出してあげるようなマネジメントがいいなと思うようになりました。そんな前職での経験も、今の考え方や価値観に影響を与えていると感じますね。会社の理念について————大変なご経験だったのですね...。ご自身のご経験を踏まえて、見習う部分と反面教師にする部分ということを切り分けて今の考え方に活かされているということでしょうか。また改めて、会社として大事にされている理念についてお伺い出来ますでしょうか?そうですね。当然良いところは良いところで吸収したいと思いますが、自分がこうだったらよかったのにな...と思うことは切り分けて考えるようにしています。大事にしている理念については、イノベーションと言うとちょっと大きすぎるのですが...。「型にハマらないコミュニケーションカンパニーを目指す」ということをビジョンとして掲げておりまして、この「型にハマらない」ということを大事にしていますね。過去の成功体験やこれまでの常識などにとらわれずに、新しい付加価値を生み出していこう、といったベンチャースピリッツと言いますか、そういった精神を重んじているのかなと思います。————HPに記載されている、箱の中からアイディアが飛び出しているようなイラストがとてもわかりやすいと感じたのですが、「型にハマらない自由な発想」といったところでしょうか。そうですね。飛び出すみたいなイメージはあります。既存の枠組みの外側に新しい価値が生まれる...みたいなイメージのイラストですね。大切なことはチャレンジ精神、突破力だと思っています。2008年に創業し、当時はインターネット広告がそこまで浸透していないフェーズだったこともあり、その中でオムニバスだからこそ提供できるサービスをどんどん発信していこうということができていたと思います。動画広告も10年前から事業として展開しており、業界の中では早く始められた方だと思いますね。そういった今までになかったものを普及させていき、業界全体を引っ張っていくような存在になる。そんな考え方は今でも大切にしていきたいと思っています。新しいことにどんどんチャレンジしていく力を、オムニバスでは重要視していますね。————「型にハマらない」を逆説的に考えると、型を知っているからこそハマらずに挑戦できるということだと感じました。一般的な当たり前を理解していないと、ハマらない先にあるものは見えないですよね。マーケティング領域をされているからこその強みだと思います。全員が既存のフレームワークを完璧に理解しているかと言えばそうでもないかもしれませんが(笑)。なんか誰もやってない新しい面白いことやろうよ、という気持ちがチャレンジ精神に繋がっていると思います。新しいことに積極的でないとどうしてもシュリンクしていってしまうと思いますし、社のミッションの中にも「進化の連続」という言葉がありまして、変わり続けていくことを昔から大事にしていますね。新規事業について————挑戦し続けるといったところから、今後会社としてどういったことを新たに実現していきたいと思いますか?今は「広告代理店で居続ける」ということから脱皮しようとしているフェーズです。「コミュニケーションカンパニー」という言葉を使っているのもそれが理由なのですが、広告代理業として「代理している」だけでは差別化も難しく、この先バリューを発揮することは難しいだろうというのが根底にあります。今の時代、広告がないと情報を入手できないということは無くなってきたように思いますし、相対的に広告の価値は低下してきたとも感じています。また当社がドメインにしているインターネット広告の世界では、GAFAなどのグローバルプラットフォーマーが広告領域におけるシェアをどんどん拡大しています。そのため我々のような日本の一企業が、リーダーシップをとって戦っていけるようなマーケットでは既になくなっているなと。なので広告というものの捉え方の解釈をもう少し広げまして、広義的に「コミュニケーションの一つ」だと我々の中で再定義しました。それを見据えた時に、もっと他に色々なことが出来るよねということで、まずは春先に寄付のDXサービスという新規事業をリリースします。これは従来広告代理店がやるようなことでもなく、完全に新規の事業として立ち上げていくものです。寄付をする側と受け取る側にパイプを作ってあげるようなサービスなのですが、世の中がより良くなる取り組みだと思っていますし、それもまたコミュニケーションの一つだろうと考えています。そういった、「広告だけではない」コミュニケーションの世界も事業として内包していく、こういう道を今後は歩んでいきます。————ワクワクしますね。まさに理念に則していて、パーパス経営ができていることが素晴らしいと思います。寄付事業のアイディアはどこから生まれたのですか?寄付事業は、私ではなく当社の取締役が発案してくれました。事業の構想自体は、一定期間アフリカに滞在した彼の過去の経験から来ているものです。海外に目を向けると寄付というのは日常的なものなのに対し、日本ではまだまだ程遠い存在なので、それをなんとかしたいという彼の思いから始まりました。————なるほど。日本人のコミュニケーションの価値観が変わりそうなビジネスですね。そうですね。この事業のプロモーションムービーがあるので良ければ見てみてください。コンセプトのイメージを伝えている動画になります。%3Ciframe%20width%3D%22560%22%20height%3D%22315%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FA7jD-YGFp70%3Fsi%3Dg2BWspIw5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