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はじめに
パートタイマーや契約社員など、非正規雇用で働く従業員から、正社員との待遇差についての疑問が寄せられることがあります。同一労働同一賃金の実現に向けて、こうした待遇差を是正するための法的な枠組みが整備されており、その中心となる考え方の一つが均衡待遇です。本記事では、均衡待遇の意味やよく使われる場面、実務対応における留意点を整理してご紹介します。
均衡待遇とは?
均衡待遇とは、パートタイム・有期雇用労働法第8条に定められた考え方で、通常の労働者(正社員)と、パートタイム労働者・有期雇用労働者との間で、職務の内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情を考慮して、不合理な待遇差を設けてはならないとする規定です。基本給や賞与、各種手当、教育訓練、福利厚生など、あらゆる待遇が対象となります。
均衡待遇と似た言葉に均等待遇があります。均等待遇は同法第9条に定められており、職務の内容および職務内容・配置の変更範囲が正社員と同一である場合に、差別的な取り扱いを禁止する、より厳格な規定です。均衡待遇が「不合理な差を禁止する」という相対的な基準であるのに対し、均等待遇は「同一の場合は同一の扱いとする」という基準である点が異なります。この二つの規定は、同一労働同一賃金の実現を目的とした枠組みの中核をなしています。
均衡待遇がよく使われるシーン
- 非正規雇用者の待遇点検:パートタイマーや契約社員の待遇が、正社員と比べて不合理な差になっていないかを確認する場面。
- 待遇差に関する説明義務への対応:非正規雇用の従業員から待遇差の内容や理由を問われた際に説明する場面。
- 賃金制度・手当制度の見直し:雇用形態にかかわらず適用すべき手当の範囲を検討する場面。
- 労務監査・コンプライアンスチェック:社内の雇用管理が法令に適合しているかを確認する場面。
- 就業規則・賃金規程の改定:雇用形態間の待遇差について、根拠を明確にしながら規程を整備する場面。
均衡待遇を理解することの重要性
均衡待遇を理解しておくことは、多様な雇用形態の従業員が納得感を持って働ける職場をつくるうえで重要な意味を持ちます。待遇差が合理的な根拠に基づいていることを説明できる状態にしておくことは、法令遵守の観点だけでなく、従業員との信頼関係を維持するうえでも欠かせません。
一方で、均衡待遇の判断は、個々の待遇ごとに趣旨・目的を踏まえて検討する必要があり、一律の基準で機械的に判断できるものではありません。人事担当者には、賃金や手当、教育訓練などの制度ごとに、その趣旨に照らして正社員と非正規雇用の従業員との間に不合理な差がないかを丁寧に点検する姿勢が求められます。厚生労働省が示す同一労働同一賃金ガイドラインも、実務上の重要な参考資料となります。
実務で活かすためのチェックポイント
- 待遇ごとに趣旨・目的を整理する:基本給、賞与、手当などの待遇について、それぞれの支給目的を明確にします。
- 職務内容・配置変更範囲を比較する:正社員と非正規雇用の従業員との間で、職務内容や異動の範囲にどのような違いがあるかを確認します。
- 不合理な差がないかを点検する:待遇の趣旨に照らして、雇用形態のみを理由とした差になっていないかを検証します。
- 説明資料を整備する:待遇差の理由を従業員へ説明できるよう、判断の根拠を文書化しておきます。
- ガイドラインを参照する:厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドラインを踏まえ、判断に迷う場合は専門家にも相談します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 均等待遇とは何が違いますか。
A. 均衡待遇は不合理な待遇差を禁止する相対的な基準であるのに対し、均等待遇は職務内容などが正社員と同一の場合に差別的な取り扱いを禁止する、より厳格な基準です。
Q2. どのような待遇が対象になりますか。
A. 基本給や賞与、各種手当のほか、教育訓練や福利厚生施設の利用など、雇用に関するあらゆる待遇が対象とされています。
Q3. 待遇差について説明を求められたら応じる必要がありますか。
A. パートタイム・有期雇用労働法では、非正規雇用の従業員から求めがあった場合、事業主が待遇差の内容や理由を説明する義務が定められています。
Q4. 正社員と非正規雇用の待遇を完全に同じにする必要がありますか。
A. 完全に同一にする必要はなく、職務内容や配置の変更範囲などの違いに応じた、合理的な差であれば認められます。
Q5. 判断に迷う場合はどうすればよいですか。
A. 厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドラインを参照するとともに、社会保険労務士など専門家への相談を検討することが望ましいとされています。
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