⌖ Detail
日給月給制とは?月給制・日給制との違いを解説
はじめに
給与規程を整備する際、月給制と表示していても、欠勤した日数分を差し引く運用になっており、従業員から「これは本当に月給なのか」と質問を受けることがある。こうした誤解の背景には、月給制という言葉が指す仕組みが一つではないという事情があります。日給月給制は、月単位で給与額を定めながら、欠勤や遅刻・早退があった場合にはその分を控除する仕組みで、日本企業で広く採用されている賃金形態です。本記事では、その内容と実務での留意点を解説します。
日給月給制とは?
日給月給制とは、あらかじめ月額で給与を定めておきながら、欠勤や遅刻、早退があった場合には、その日数や時間数に応じて給与から控除を行う賃金の支払い方式を指します。名称に「日給」と「月給」の両方が含まれているとおり、月額で給与を定める月給制の性質と、実際に働いた日数に応じて金額が変動する日給制の性質をあわせ持つ仕組みです。これに対し、欠勤があっても月額から一切控除しない方式は完全月給制と呼ばれ、日給月給制とは区別されます。また、出勤した日数分のみを日ごとの単価で計算して支払う方式は日給制と呼ばれ、月額をあらかじめ定める日給月給制とは仕組みが異なります。日本の民間企業では、欠勤控除の仕組みを備えた日給月給制が広く採用されており、求人票や給与規程で単に「月給制」と表記されていても、実態としては日給月給制であることが少なくありません。欠勤控除の計算方法には、月の所定労働日数を基準とする方法や、暦日数を基準とする方法など複数の考え方があり、就業規則や賃金規程にあらかじめ計算方法を明記しておくことが求められます。なお、遅刻や早退の控除、欠勤控除を行う際には、労働基準法第24条に定める賃金支払の五原則のうち、賃金の全額払いの原則との関係を踏まえ、控除の範囲や計算方法を就業規則に明確に定めておく必要があります。
広告
日給月給制がよく使われるシーン
給与規程や就業規則を新たに整備する場面、あるいは見直す場面で、月給制の内容を具体的にどう定めるかという文脈で登場します。求人票の作成時には、応募者に誤解を与えないよう、月給制の内訳や欠勤控除の有無を説明する必要が生じる場面があります。入社時のオリエンテーションや労働条件通知書の説明の際にも、給与の仕組みを正しく理解してもらうために用いられる言葉です。給与計算の実務では、欠勤や遅刻・早退が発生した従業員の給与から控除額を算出する際、日給月給制における控除の計算方法が具体的な実務知識として必要になります。裁量労働制やフレックスタイム制など、労働時間の管理方法が特殊な制度を導入する際にも、給与体系の土台として日給月給制の仕組みが関わってきます。
日給月給制を理解することの重要性
日給月給制を理解する意義は、月給制という表現だけでは分からない給与の実態を、従業員に対して正確に説明できるようになる点にあります。月給制という言葉から、欠勤しても給与が変わらないと誤解する従業員は少なくありません。実際には欠勤控除が行われる日給月給制であるにもかかわらず、この説明が不十分なまま入社すると、初めての欠勤時に控除額をめぐるトラブルや不信感につながるおそれがあります。人事担当者としては、採用時や入社時の説明において、給与体系の仕組みを具体的に伝えることが求められます。また、欠勤控除の計算方法は、月の所定労働日数を基準にするか暦日数を基準にするかによって、同じ欠勤日数でも控除額が異なる場合があります。就業規則に計算方法を明記していない、あるいは実際の運用が規則と異なっているといった状態は、賃金の全額払いの原則との関係で問題になり得るため、規程の整備と運用の一致を定期的に確認することが実務上重要です。