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はじめに
外部の専門家に組織課題の診断を依頼し、立派な提言書を受け取ったものの、現場が動かないまま終わってしまった。こうした経験を持つ人事担当者は少なくありません。支援のあり方そのものを問い直す考え方が、プロセスコンサルテーションです。本記事では、プロセスコンサルテーションの意味やよく使われる場面、実務で活かすための留意点を整理してご紹介します。
プロセスコンサルテーションとは?
プロセスコンサルテーションとは、支援者が答えを提示するのではなく、組織の当事者が自ら課題に気づき、解決していく過程を支える支援の方法を指します。組織心理学者のエドガー・H・シャインが1969年に提唱した組織開発の基本モデルであり、今日の対話型組織開発の土台となっています。
ここでいうプロセスとは、会議で何が話されたかという内容ではなく、誰がどのように発言し、どのように意思決定が進んだかという、人と人との間で起きている目に見えない動きを指します。発言の順序、沈黙の扱われ方、意見が退けられるときの反応といった相互作用の質が、組織の成果を左右するという前提に立っています。
シャインは支援の型を三つに区別しました。専門知識を提供する専門家モデル、原因を診断して処方する医師モデル、そして当事者とともに考えるプロセスコンサルテーションです。前二者では、支援者が問題を定義し所有することになりますが、プロセスコンサルテーションでは、問題は当事者のもとに残ります。支援者の役割は、当事者が自分たちのプロセスに目を向けられるよう問いかけ、観察したことを返すことにあります。
この考え方が重視される理由は、実行と定着にあります。外部が導いた結論は、当事者にとって自分たちのものになりにくく、行動の変化につながりにくいためです。
プロセスコンサルテーションがよく使われるシーン
- 組織開発の推進:人事部門が現場と関わる際の基本姿勢として用いる場面。
- サーベイ結果の活用:数値を渡して終わらせず、現場が自ら意味づける対話を設計する場面。
- 管理職の支援:チームの課題を代わりに解決せず、本人が扱えるよう伴走する場面。
- 会議の質の改善:議題の内容ではなく、進め方や関わり方に着目して見直す場面。
- 部門間の対立の緩和:どちらかに肩入れせず、双方が相互作用を捉え直す場を設ける場面。
プロセスコンサルテーションを理解することの重要性
プロセスコンサルテーションの視点を持つことは、人事部門の関わり方を見直すうえで重要です。人事は制度や施策の提供者として振る舞うことが多く、現場の課題に対しても解決策を示す立場に立ちがちです。しかし、現場の事情を最もよく知るのは当事者であり、外から示された解決策が実情に合わないことは珍しくありません。
この考え方を取り入れると、人事の役割は答えを渡すことから、現場が自ら考えられる場をつくることへと移ります。サーベイの結果を返す際に解釈まで添えるのではなく、現場が数値の意味を語り合う時間を設ける。管理職の相談に対して即座に助言するのではなく、状況をどう見ているかを問い返す。こうした関わり方の違いが、施策の定着度を左右します。
ただし、この姿勢が万能というわけではありません。法令対応や制度設計のように、明確な専門知識が必要な領域では、専門家として答えを示すほうが適切です。シャイン自身も三つの型を使い分けるべきだと述べており、状況に応じた選択が前提となります。関わり方を一つに固定せず、いまどの型が求められているかを見極める視点が実務では有効です。
実務で活かすためのチェックポイント
- 内容とプロセスを分けて見る:何が話されたかに加え、どのように話されたかを意識して観察します。
- 問題の所有者を確認する:課題を引き取りすぎていないか、当事者の手元に残っているかを点検します。
- 助言の前に問いを置く:すぐに答えを示さず、本人の見立てを引き出す問いかけを先に行います。
- 観察したことを返す:評価や解釈を加えず、その場で起きた事実を言葉にして共有します。
- 支援の型を使い分ける:専門知識が必要な場面では、専門家として明確に答える判断も行います。
よくある質問(FAQ)
Q1. 助言をしてはいけないということですか。
A. そうではありません。助言が有効な場面もあります。重要なのは、当事者が自ら考える余地を残したうえで、必要に応じて提供することです。
Q2. コーチングとはどう違いますか。
A. コーチングは主に個人を対象としますが、プロセスコンサルテーションは集団や組織の相互作用を対象とする点に特徴があります。
Q3. 人事担当者が社内で実践できますか。
A. 実践できます。むしろ日常的に現場と接する人事部門こそ、この姿勢を取り入れる意義が大きいといえます。
Q4. 成果が見えにくいのではありませんか。
A. 短期的な変化は見えにくい面があります。会議での発言量や合意形成までの時間など、プロセスの変化を指標として観察する方法があります。
Q5. 導入にあたって最初に何をすべきですか。
A. 既存の会議や面談の場で、内容ではなく進め方に注目して観察することから始めるとよいでしょう。
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プロセスコンサルテーションの考え方は、組織開発の推進や管理職の関わり方の見直しに活かせます。対話を通じた組織づくりをお考えの企業様は、ぜひご相談ください。
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