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出向とは?意味と転籍との違いを解説
はじめに
グループ会社間の人材交流や、取引先への技術支援などの場面で耳にする「出向」という言葉。似た言葉に「転籍」がありますが、両者は雇用契約の扱いが異なります。本記事では、出向の意味と転籍との違いについて解説します。
出向とは?
出向とは、出向元の企業が自社の従業員を出向先の企業へ送り出し、従業員が出向先と新たに雇用契約を結んだうえで、一定の期間働くことをいいます(厚生労働省『在籍型出向支援』、2026-10-30取得)。出向は、出向元との関係から「在籍型出向」と「移籍型出向」に分けられます(厚生労働省『労働政策審議会労働条件分科会 第65回資料』、2026-10-30取得)。在籍型出向では、働く人は出向元の従業員としての地位を保ったまま、出向先とも雇用契約を結びます。出向元と出向先は出向契約を結びます(厚生労働省『在籍型出向支援』、厚生労働省『在籍型出向「基本がわかる」ハンドブック(通常時編)』、2026-10-30取得)。雇用調整型と人材育成・交流型の出向は、期間後は原則として出向元へ復帰するとされます(産業雇用安定センター宮崎事務所『在籍型出向についての説明』(2021年6月10日)、2026-10-30取得)。移籍型出向では、出向元との労働契約はすでに終わっており、労働契約を結んでいるのは出向先だけです(厚生労働省『労働政策審議会労働条件分科会 第65回資料』、2026-10-30取得)。
労働契約法第14条は、出向を命じることができる場合でも、権利の濫用にあたる命令は無効と定めています。濫用かどうかは、命令の必要性や、対象労働者の選定に係る事情などに照らして判断されます(e-Gov法令検索『労働契約法』第14条、2026-10-30取得)。新日本製鐵事件の最高裁判決(平成15年)は、発令手続に不相当な点がないことも、権利の濫用にあたらない理由に挙げています(厚生労働省『確かめよう労働条件』裁判例「出向」、2026-10-30取得)。ハンドブックは、必要性や労働条件を関係者でよく話し合って明確にしておくことが重要だとしています(厚生労働省『在籍型出向「基本がわかる」ハンドブック(通常時編)』、2026-10-30取得)。
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出向がよく使われるシーン
グループ会社間での人材育成や経営資源の融通、取引先や関連会社への技術支援・経営支援、雇用調整の一環として在籍を維持したまま他社で就労してもらう場合など、さまざまな目的で活用されます。近年は、雇用維持を図りながら人材を必要とする企業へ一時的に出向させる在籍型出向が、雇用調整助成金などの支援策とあわせて注目される場面も見られます。人事担当者にとっては、出向の目的や対象者の選定、出向契約の内容整備などを検討する際にこの言葉が登場します。
出向を理解することの重要性
出向を理解する意義は、雇用契約の扱いが異なる在籍出向と転籍出向とでは、従業員にとっての意味合いや企業側が整えるべき手続きが大きく異なることを把握できる点にあります。特に転籍は従業員の同意なく一方的に命じることができないとされており、在籍出向とは法的な位置づけが異なります。人事担当者がこの違いを理解しておくことは、出向を命じる目的を明確にし、対象者への丁寧な説明や適切な契約整備を行ったうえで、トラブルのない出向運用を検討するための土台になります。