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初任給とは?決め方と近年の引き上げ傾向を解説
はじめに
採用競合他社が初任給を引き上げたという報道を目にし、自社の水準で優秀な学生を確保できるのか不安になる。一方で、初任給だけを引き上げると、既存社員との賃金バランスが崩れるおそれもある。初任給は、単に新卒者に支払う金額を決める作業ではなく、採用競争力と社内の賃金体系の両方に関わる重要な意思決定です。本記事では、その内容と実務での考え方を解説します。
初任給とは?
初任給とは、企業に新たに採用された従業員に対して最初に支払われる賃金を指します。一般的には新規学卒者を採用した際の基本給を指す場合が多く、学歴(大学院卒・大学卒・高専卒・高卒など)や職種によって金額が区分されることが一般的です。初任給は、基本給に加えて諸手当を含めた総支給額として示される場合と、基本給のみを指す場合があるため、求人票や賃金水準を比較する際には、どちらを指しているかを確認する必要があります。初任給の水準は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(賃金センサス)などの公的統計や、同業他社・同規模企業の動向を参考に決定されることが一般的です。近年は人手不足を背景とした採用競争の激化により、初任給を引き上げる企業が増えており、大手企業を中心に大学卒の初任給が大きく上昇する動きが続いています。初任給を引き上げる際には、新卒者だけでなく、既に在籍している若手・中堅社員の賃金とのバランスをどう保つかという課題が伴います。新卒者の初任給が数年前に入社した社員の賃金に近づく、あるいは逆転する現象は賃金の逆転現象と呼ばれ、既存社員のモチベーションに影響を与える要因として注意が必要です。
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初任給がよく使われるシーン
新卒採用の募集要項や求人票を作成する場面で、最も基本的な情報として記載されます。学生や転職希望者が企業を比較検討する際の代表的な指標の一つでもあり、採用広報において重要な訴求ポイントとなります。賃金改定のタイミングでは、初任給の水準を他社と比較し、自社の採用競争力を検証する材料として用いられます。人件費予算の策定時には、初任給の引き上げが人件費総額や、既存社員を含めた賃金カーブ全体にどう影響するかを試算する場面でも登場します。労働組合との賃金交渉や、経営層への処遇改定提案の際にも、初任給の動向は重要な論点として取り上げられます。
初任給を理解することの重要性
初任給を理解する意義は、これを採用活動だけの問題として捉えるのではなく、既存社員を含めた賃金制度全体の整合性の問題として捉えられる点にあります。初任給の引き上げは、新卒採用の競争力を高める即効性のある施策である一方、既存社員との賃金差が縮小・逆転すれば、在籍社員の不公平感や離職リスクを高める可能性があります。そのため、初任給を引き上げる際には、若手層を中心とした賃金カーブ全体の見直しをあわせて検討する企業が少なくありません。また、初任給の金額だけを他社と比較するのではなく、諸手当の有無や、昇給・賞与の仕組みまで含めた総合的な処遇として比較する視点も重要です。初任給が高くても、その後の昇給ペースが緩やかであれば、中長期的な処遇は必ずしも有利とは言えません。企業として初任給を検討する際は、採用市場での競争力と、社内の賃金の公平性という、時に相反する二つの要請のバランスをどう取るかが実務上の焦点となります。